ひつじ書房, HITUZI SYOBO publishing company

ひつじ書房, HITUZI SYOBO publishing company 1990年に創立した日本語学・言語学の学術出版社。言語学を中心にことばを巡って、文学研究、メディア研究、文化人類学、社会学などの分野でも出版しています。

学術出版とはオープンであることだけでなく、重要なのは、出版を通した共有への推しである。

数人でやっている小さな学術出版社です。言語学、日本語学、国語教育、日本語教育、英語教育、日本文学、民俗学、文化人類学の研究書を出版しています。これらのジャンルの大学での教科書も出版しています。
7月から、日本文学協会の『日本文学』の発売元になります。

シリーズ認知と言語 2日英語の可能表現の本質アフォーダンスと原因帰属から見た英語中間構文と日本語無標識可能表現本多啓著定価4600円+税 A5判並製カバー装 370頁ISBN978-4-89476-623-5装丁者 村上真里奈ひつじ書房Ne...
30/10/2025

シリーズ認知と言語 2
日英語の可能表現の本質
アフォーダンスと原因帰属から見た英語中間構文と日本語無標識可能表現

本多啓著

定価4600円+税 A5判並製カバー装 370頁

ISBN978-4-89476-623-5

装丁者 村上真里奈

ひつじ書房

New Approaches to Language and Cognition 2
The Nature of Expressions of Enablement in English and Japanese: A View of the English Middle Construction and the Japanese Enablement Expression without Overt Marking in Terms of Affordance and Causal Attribution
Akira Honda

【内容】
本書は、従来主としてヴォイス現象として議論されてきた英語中間構文を可能表現の観点から見直し、あわせて対応する日本語可能表現について論じた、認知言語学の研究書である。理論的な枠組みとしては、生態心理学のアフォーダンスと社会心理学の原因帰属を採用している。本書の緻密にして壮大な議論は、英語中間構文と周辺構文についての見方を根本的に刷新することを促すものとなっている。

【目次】

「シリーズ 認知と言語」刊行のことば
まえがき

第 1 章 はじめに
1 本書が目指すもの
2 本書の構成
3 本書の約束事

第 2 章 能力可能・状況可能の区別と英語の助動詞can
1 はじめに
2 問題その 1:英語法助動詞 can の多義性
3 問題その 2:依頼用法等の起源
4 能力可能と状況可能と can
5 問題その 1 について:認識用法と状況可能
6 もうひとつの用法:言語行為用法
7 問題その 2 について:can の発話の力と状況可能
8 知覚理論的な基盤:環境と知覚・行為者の相補性
9 発話の力はどこから来るのか:コミュニケーションと共同注意と環境の意味の共有
10 本章のまとめ

第 3 章 可能表現と原因帰属
1 はじめに
2 可能表現への生態心理学からのアプローチ
2.1 日本語の方言研究における可能表現の分類
2.2 英文法研究および文法化研究における能力可能・状況可能の扱い 30
2.3 生態心理学の観点から見た可能表現
3 可能表現に対する認知意味論のアプローチと原因帰属
4 能力可能と状況可能の原理的な連続性
5 社会心理学の知見
5.1 CAN 概念と原因帰属(Heider(1958))
5.2 自発的原因帰属と原因帰属を引き起こす先行条件
5.3 可能表現と原因帰属の関係についての Heider らの見解のまとめ 46
5.4 具体的な言語事実の一端
5.5 これまでの可能表現研究と原因帰属
6 原因帰属と言語表現
6.1 原因帰属に明示的に言及した先行研究
6.2 英語の cause という語について
6.3 メキシコ・スペイン語における “energetic reflexives”
7 原因帰属と可能表現との対応
7.1 概要
7.2 人と環境との安定した関係と潜在可能・属性表現
7.3 内的帰属・外的帰属と能力可能・状況可能
7.4 否定的な価値と否定主導
8 「予想外」などの成立が当たり前でない事態の表現
8.1 英語の can
8.2 could と疑問文
8.3 英語と日本語の可能表現における「一回限りの可能」ないし「実現可能」
に対する制約
9 本章のまとめ

第 4 章 英語の中間構文の基本的な意味構造
1 はじめに
2 プロトタイプカテゴリーとしての英語中間構文:典型例と周辺事例
3 英語中間構文の起源と展開についてのひとつの仮説
4 ゼロ形の動作主の読み込みと原因帰属
5 英語中間構文発生の契機と、可能表現としての中間構文の意味構造
6 構文化の観点からの見直し
7 英語の中間構文の二面性:〈ヴォイス現象〉〈可能表現〉
8 能力可能などを表すように見える英語中間構文について 102
9 道具主語構文と(擬似)中間構文
10 英語中間構文と原因帰属
10.1 英語の中間構文の成立条件
10.2 英語中間構文に現れる副詞句
10.3 「一回限りの可能」を表す英語中間構文
10.4 「否定的」かつ「予想外」の事態
10.5 注意の向け方としての原因帰属と比較・対照表現などにおける英語中間構文の容認性
11 理論的な意味合い:非プロトタイプからプロトタイプへ
11.1 能格構文から典型的な中間構文へ
11.2 実現可能(一回限りの可能)から潜在可能へ?
12 本章のまとめ

第 5 章 英語中間構文と動詞の種類:プロトタイプカテゴリーとしての英語中間構文再考(1)
1 はじめに
2 英語の中間構文の発生(再掲)とそこからの可能表現としての広がりの見通し
3 無対非対格自動詞の無標識可能表現(中間構文)
3.1 移動・変化を表す自動詞表現
3.2 事象の出現・発生を表す自動詞表現
4 無対非能格自動詞の無標識可能表現(中間構文)
5 他動詞の場合
5.1 他動詞の場合(1):能動受動構文としての中間構文
5.2 他動詞の場合(2):純粋な無標識可能表現(中間構文)
6 ここまでのまとめ
7 能格自動詞・非対格自動詞 happen の意味をどう考えるか 157
7.1 (all)by itself と能格自動詞:通説とその経験的・論理的な問題点 157
7.2 本書の見方
8 (all)by itself をどう考えるか
8.1 データ
8.2 本書の立場:基本的な考え方
8.3 非対格自動詞の場合
8.4 能格自動詞の場合
8.5 中間構文の場合
8.6 by itself は隠在的な動作主の有無の判定基準になるか
9 理論的な意味合い:英語中間構文研究を「ヴォイス」の枠組みから解放する
10 本章のまとめ

第 6 章 英語中間構文と動作主:プロトタイプカテゴリーとしての英語中間構文再考(2)
1 はじめに
2 プロタイプカテゴリーとしての動作主(西村(1998))
3 多様な動作主に対応する多様な中間構文はあるか ?
3.1 典型的な動作主(意図した結果の発生)
3.2 過失・不作為
4 tough 構文
5 本章のまとめ
6 第 5 章と第 6 章からの帰結:結局「中間構文」とは何か?

第 7 章 日本語の無標識可能表現
1 はじめに
2 英語の中間構文に対応する日本語表現についての先行諸見解
2.1 畠山・本田・田中(2015):テアル構文
2.2 影山(1998), Kageyama(2002):自動詞文
2.3 松瀬・今泉(2001):影山説+可能文
3 英語の中間構文に対応する日本語表現についての本書の見解
3.1 日英対照についての本書の基本的な立場
3.2 対応の起点:直訳から始める
3.3 無対他動詞への拡張の有無
3.4 英語と日本語の対応についての、ここまでのまとめ
3.5 多様な動詞から構成される無標識可能表現:第 5 章からの見通し
3.6 多様な動作主:第 6 章からの見通し
4 無標識可能表現としての日本語自動詞表現
4.1 先行研究
4.2 構文的な環境
4.3 動詞の種類に対する制約(?)
5 デキルの可能標識化と happen と無標識可能表現
6 動作主について
7 本章のまとめ

第 8 章 特殊仕様を表す英語中間構文
1 はじめに
2 先行研究における扱い
3 特殊仕様の中間構文の例
4 発見されるアフォーダンス、設計されるアフォーダンス
5 仕様か、機能不全・逸脱使用などか:否定文の場合
6 その他の中間構文:規範などを表す中間構文
7 本章のまとめ

第 9 章 英語における他動詞由来の主体移動表現について
1 はじめに
2 「読む」行為の移動としての概念化
3 移動動詞としての read
4 中間構文としての用法
5 英語における中間構文と主体移動表現の重なり
6 他動詞由来の主体移動表現としての read 中間構文
7 本章のまとめ

第 10 章 おわりに
1 本書のまとめ
2 可能表現研究および中間構文研究における、本書の位置づけ
3 認知についての研究における、本書の立場の位置づけ
3.1 認知言語学・認知意味論とは何(でない)か
3.2 生態心理学との関連における本書の立場の位置づけ
3.3 言語現象の説明原理としての原因帰属の位置づけ
4 本書でやり残したこと

あとがき
参考文献

【著者紹介】
本多啓(ほんだ あきら)
〈略歴〉1965 年、埼玉県生まれ。東京大学文学部英語英米文学専修課程卒業、同大学人文科学研究科英語英文学専攻博士課程修了。博士(文学)。現在、神戸市外国語大学外国語学部英米学科教授。
〈著書、論文〉『アフォーダンスの認知意味論—生態心理学から見た文法現象』(東京大学出版会、2005、第39回市河賞受賞)、『知覚と行為の認知言語学—「私」は自分の外にある』(開拓社、2013)、および論文多数。

シリーズ認知と言語 1環境を語る言葉生態心理学から見た語彙意味論仲本康一郎著定価4200円+税 A5判並製カバー装 272頁ISBN978-4-89476-622-8装丁者 村上真里奈ひつじ書房New Approaches to Langu...
30/10/2025

シリーズ認知と言語 1
環境を語る言葉
生態心理学から見た語彙意味論

仲本康一郎著

定価4200円+税 A5判並製カバー装 272頁

ISBN978-4-89476-622-8

装丁者 村上真里奈

ひつじ書房

New Approaches to Language and Cognition 1
Naming the World: An Ecological Approach to Lexical Semantics
Koichiro Nakamoto

【内容】
本書は、認知言語学の経験基盤主義に生態心理学の実在論を融合させ、環境が人間に対して有意味な構造を持つという視点を加えることで、言語が単なる人間の主観的な認知プロセスの反映ではなく、環境との相互作用に基づく活動を通じて形成されることを主張する。これまでの静的な言語観を超え、環境における実際の活動や経験に根ざすダイナミックな言語観を提示し、言語研究の新たな地平を切り拓く革新的なアプローチを展開する。

【目次】

「シリーズ 認知と言語」刊行のことば
はじめに 

序章 本書の立場と目標
1 文化人類学
1.1 ソシュール言語論
1.2 サピア・ウォーフの仮説
2 認知言語学
2.1 経験基盤主義
2.2 主体性の言語学
3 生態心理学
3.1 生態学的実在論
3.2 生態学的言語論

第1章 生態心理学の意味研究
1 生態学的実在論
1.1 アフォーダンス
1.2 エコロジカル・セルフ
1.3 アフォーダンスについての覚書
N.B.  環境世界(環世界)
2 知覚の能動性
2.1 探索活動
2.2 ダイナミック・タッチ
2.3 知覚と行為のカップリング
N.B.  活動システム
3 相互作用的属性
3.1 形容詞の意味記述
3.2 科学的言明と日常的言語
3.3 「重い」の意味記述

第2章 言語発達と文化学習
1 子どもの語彙獲得
1.1 認知的制約
1.1.1 事物名詞の語彙獲得
1.1.2 動作動詞の語彙獲得
1.2 生態心理学から見た語彙獲得
1.2.1 アフォーダンスの語彙獲得
1.2.2 社会語用論と語彙獲得
2 社会文化的アプローチ
2.1 コミュニケーションと発達
2.2 指し言語から語り言語へ
3 文化学習と意図知覚
3.1 文化と活動の心理学
3.1.1 道具に媒介された行為
3.1.2 意図の知覚
3.1.3 心の理論
3.2 二重表象と文化の継承
3.2.1 二重表象説
3.2.2 盲目的学習

第3章 事物の操作と相互作用
1 環境と活動の意味論
1.1 生態学的環境
1.1.1 生態学的存在
1.1.2 相互作用の意味論
1.1.3 ひものアフォーダンス
1.2 事物の操作と相互行為
1.2.1 事物の操作
1.2.2 相互行為システム
2 事物の操作と変形可能性
2.1 操作動詞の意味論
2.1.1 変形動詞の意味論
2.1.2 構造的特徴
2.1.3 破損と修復
2.2 生産と利用の意味論
2.2.1 生産動詞の意味論
2.2.2 利用動詞の意味論
3 力学形容詞
3.1 力学形容詞
3.1.1 攻撃力の図式―「鋭い」の意味論
3.1.2 抵抗力の図式―「かたい」の意味論
3.2 力学形容詞の意味拡張
3.2.1 「きつい」の基本的用法
3.2.2 「きつい」の拡張的用法
4 相互行為の意味論
4.1 姿勢の維持と崩壊
4.1.1 姿勢動詞の意味論
4.1.2 崩壊と維持の意味論
4.2 動物の行動―逃走か闘争か
4.2.1 追跡と逃走
4.2.2 闘争のメタファー
5 相互行為と活動調整
5.1 交渉のダイナミズム
5.1.1 交渉フレーム
5.1.2 交渉プロセス
5.2 心の葛藤と力のダイナミクス
5.2.1 心の理論
5.2.2 心の葛藤と言語表現
5.2.3 心の葛藤とダイナミズム

第4章 移動の空間と接近可能性
1 移動と空間の意味論
1.1 生態学的空間
1.1.1 生態学的空間
1.1.2 地形のアフォーダンス
1.1.3 「穴」の意味論
N.B.  方向づけのメタファー
1.2 移動動詞の意味論
1.2.1 移動システム
1.2.2 移動の進退
1.2.3 人生は旅である
2 静的視点論と動的視点論
2.1 静的視点論
2.1.1 環境参照枠
2.1.2 相対参照枠
2.1.3 固有参照枠
2.2 探索活動と認知地図
2.2.1 認知地図
2.2.2 参照点構造
2.3 動的視点論
2.3.1 探索活動と空間認知
2.3.2 相対的移動
2.3.3 虚構的移動
3 活動の空間とアフォーダンス
3.1 作業の空間と運動可能性
3.2 移動の空間と接近可能性
4 知覚と行為のアフォーダンス
4.1 前置詞と接近可能性
4.2 知覚形容詞の意味構造
4.3 知覚と認知―見立てのモデル
5 出現と設置の意味論
5.1 出現動詞の意味論
5.1.1 出現動詞
5.1.2 出現と消滅のあわい
5.2 設置動詞の意味論
5.2.1 設置動詞
5.2.2 装飾と隠蔽
5.2.3 他者の視線を意識する

第5章 資源と欲求の意味論
1 欲求の意味論
1.1 欲求とアフォーダンス
1.1.1 欲求表現
1.1.2 「いい」の意味論―限界合理性
1.1.3 水のアフォーダンス
1.2 欲望と感情
1.2.1 嫉妬心―欲望の現象学
1.2.2 羞恥心―他者のまなざし
2 知覚と存在の意味論
2.1 存在と数量
2.1.1 存在の知覚
2.1.2 存在量とスケール
2.1.3 数量のオノマトペ
2.2 探索活動と活動の資源
2.2.1 探索フレーム
2.2.2 資源フレーム
3 探索活動と遭遇の機会
3.1 探索活動
3.1.1 探索活動と言語表現
3.1.2 探索動詞の意味論
3.2 空間的分布
3.2.1 遭遇の機会
3.2.2 分散と集中
4 資源の活用と分配
4.1 資源と負債の意味論
4.1.1 資源の備蓄
4.1.2 負債の除去
N.B.  時間は資源である
4.2 資源の活用と喪失
4.2.1 資源の有効活用
4.2.2 機会の有効利用
5 贈与と分配
5.1 分かち合い
5.2 所有と権利
N.B.  数量の概念と活動調整

第6章 事象の構造とアスペクト
1 事象と時間の意味論
1.1 生態学的事象
1.1.1 生態学的事象
1.1.2 時計仕掛けの環境
1.2 事象のアフォーダンス
1.2.1 徴候と予期
1.2.2 痕跡と遡及
1.2.3 「はかなさ」の象徴
2 事象の構造と局面
2.1 事象の構造
2.2 局面の知覚
2.3 植物の成長
3 事象の推移と変化モデル
3.1 直線モデル
3.2 循環モデル
3.3 変動モデル
N.B.  火のメタファー
4 事象から時間へ
4.1 局面副詞
4.1.1 未然相と既然相
4.1.2 近局面と遠局面
4.2 局面形容詞
4.2.1 始局面と終局面
4.2.2 新旧の形容詞
4.2.3 発達と年齢
5 危険回避と活動調整
5.1 危険の知覚
5.1.1 「危ない」の意味構造
5.1.2 危険の察知と対処
5.1.3 日本語のリスク表現
5.2 危険回避と活動調整
5.2.1 リスクの類型
5.2.2 危険の回避

第7章 評価と活動の意味論
1 文化的価値
1.1 生態学的価値
1.2 審美的価値
1.2.1 美を感じる心
1.2.2 美から道徳へ
1.3 道徳的価値
1.3.1 徳を感じる心
1.3.2 ステレオタイプ
2 アドホックな価値
2.1 価値の発見
2.1.1 評価と選択
2.1.2 評価の構造
2.2 記述と評価
2.2.1 記述と評価
2.2.2 評価の局面
2.2.3 相関的程度副詞
N.B.  配慮と調整
3 感情と道徳
3.1 感情的評価
3.1.1 感情システム
3.1.2 個人的感情
3.1.3 社会的感情
3.2 道徳的評価
3.2.1 規律と訓練
3.2.2 称賛と非難
4 相互行為言語学
4.1 相互行為と活動調整
4.1.1 行為の選択―評価的態度
4.1.2 信念の調整―認識的態度
4.2 危険回避と目標達成
4.2.1 目標の達成
4.2.2 危険の回避
4.2.3 テクスト抜粋
5 仕事の意味論
5.1 仕事の構造
5.2 仕事の進捗
5.3 完成と中断

おわりに 認知から活動へ
あとがき
参考文献
索引

【著者紹介】
仲本康一郎(なかもと こういちろう)
〈略歴〉1968年、広島県生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。情報通信研究機構(NICT)専攻研究員を経て、現在、山梨大学全学共通教育センター教授。
〈著書〉『概念化と意味の世界』(研究社、共著、2008)、『メタファーで読み解く英語のイディオム』(開拓社、共著2022)、『インタラクションと対話―多角的な視点からの研究方法を探る』(開拓社、共編、2024)ほか。

「女ことば」「男ことば」を越えて日本語のジェンダー研究の新たな地平森山由紀子・加藤大鶴編定価5000円+税 A5判並製カバー装 404頁ISBN978-4-8234-1291-2装丁 坂野公一(welle design)ひつじ書房Beyon...
23/10/2025

「女ことば」「男ことば」を越えて
日本語のジェンダー研究の新たな地平

森山由紀子・加藤大鶴編

定価5000円+税 A5判並製カバー装 404頁

ISBN978-4-8234-1291-2

装丁 坂野公一(welle design)

ひつじ書房

Beyond “Women’s Language” and “Men’s Language”: New Perspectives on Japanese Language and Gender Research
Edited by Moriyama Yukiko and Kato Daikaku

【内容】
ジェンダーについての理解が急速に深まりつつある現在、日本語学の視点から、どのような知見が提供できるだろうか。男ことば・女ことばとはなんだったのか。実際の言語行動とジェンダーの関係はどのように分析・解釈されるのか。地域言語・歴史的言語を含めた言語実態の観察をベースに、日本語のジェンダー研究をアップデートする一冊。執筆者:石川慎一郎、遠藤織枝、荻野綱男、尾崎喜光、加藤大鶴、上林葵、金水敏、小磯花絵、甲田直美、佐竹久仁子、高木千恵、田中牧郎、日高水穂、三宅和子、森山卓郎、森山由紀子、森勇太
【目次】
はじめに

第1部 「女ことば」「男ことば」とジェンダー

第1章 〈女ことば〉文末詞の規範化―明治中期から昭和前期 佐竹久仁子
第2章 ジェンダーに関わるステレオタイプ的な表現の文法論的・文体論的検討 森山卓郎
第3章 ことばが肉体を越えるとき 金水 敏
第4章 寿岳章子 ジェンダーの視点による女のことば研究の先駆者 遠藤織枝

第2部 現代日常会話とジェンダー

第5章 埋め込まれる声―話法とジェンダー 甲田直美
第6章 コーパス基盤型性差研究の方法論―男女大学生の会話に見る性差をめぐって 石川慎一郎
第7章 終助詞に見られる男女差の実態とその経年変化―『昭和話し言葉コーパス』『日本語日常会話コーパス』 を活用して 小磯花絵
第8章 聞き手に対する敬語行動の男女差 荻野綱男
第9章 LINEの中のジェンダー―若者の言語意識と実態 三宅和子

第3部 地域言語とジェンダー

第10章 方言使用地域における文末表現と自称詞の男女差の今―岡山市と鶴岡市の場合 尾崎喜光
第11章 高知県幡多方言の呼称のバリエーションと性差―高年層話者の談話を資料として 高木千恵
第12章 ジェンダーの視点からみた大阪若年層の言語実践―文法項目を対象に 上林 葵
第13章 親族語彙の変容から見る地域社会のジェンダー観とその再構築 日高水穂

第4部 古典語とジェンダー

第14章 平安貴族の言葉遣いにおける傾向的性差―「な~そ」の用法の歴史社会語用論的解釈の試み 森山由紀子
第15章 『今昔物語集』における「女」と「男」の非対称性 田中牧郎
第16章 近世後期洒落本から考えることばの性差―自立的機能語を中心に 森 勇太

編者・執筆者紹介

【編者紹介】
森山由紀子(もりやま ゆきこ)同志社女子大学表象文化学部教授
「10 世紀末『落窪物語』における下位への対面素材敬語―発話場面の文脈との関わりから」『敬語の文法と語用論』(開拓社、2022)、「平安・鎌倉時代の感謝・謝罪に見られる配慮表現」『日本語の配慮表現の多様性―歴史的変化と地理的・社会的変異』(くろしお出版、2014)

加藤大鶴(かとう だいかく)早稲田大学文学学術院教授
『漢語アクセント形成史論』(笠間書院、2018)、「『和漢朗詠集』鎌倉期加点本の漢語声点」『国語と国文学』102(2)(東京大学国語国文学会、2025)

23/10/2025

こちらは『日本山海名物図会』より大坂の天満市場の松茸市の様子を描いたものです。秋の味覚である松茸は、古くから貴族に親しまれ、江戸時代の後半には庶民も松茸狩りに出かけていたようです。 のコラム「きのこ狩りと松茸」で紹介しています。

https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/column/matsutake

未発選書 33中島梓と「やおい」の時代「1968年」の「革命」を視座として金子亜由美著定価3400円+税 四六判上製カバー装 368頁ISBN978-4-8234-1310-0装丁 渡部文イラスト 藤岡詩織ひつじ書房Nakajima Azu...
22/10/2025

未発選書 33
中島梓と「やおい」の時代
「1968年」の「革命」を視座として

金子亜由美著

定価3400円+税 四六判上製カバー装 368頁

ISBN978-4-8234-1310-0

装丁 渡部文

イラスト 藤岡詩織

ひつじ書房

Nakajima Azusa and the Era of Y**i: From the Perspective of the Revolution of 1968
Kaneko Ayumi

【内容】
「六八年革命」としての学生運動は、「やおい/ボーイズ・ラブ(BL)」の成立にいかなる影響を与えたのか。本書では、少女マンガの「革命」を謳った竹宮惠子の「美少年マンガ」や、「川口君事件」の衝撃から生み出された中島梓の「少年愛」小説などを分析することを通じて、その背後にある「六八年」の記憶を炙り出す。「やおい/BL」が、「六八年」を別の形で継続する「革命」であったことを明らかにする画期的研究書。
(同人誌『G-W-G(minus)』に掲載した照山もみじ名義の中島梓論、「やおい/ボーイズ・ラブ(BL)」に関する論考を大幅に加筆・修正。)
【目次】
まえがき

序章 「私たちはこれでいいのだろうか」―「麻薬」から「毒」を作るために
一 「逃避(BL)」は「抵抗(政治)」たり得るか
二 「ヤオイ」の現象化
三 「商品(BL)」の「お約束」
四 中島による「BL」批判

第一章 (反)「革命」としての「美少年マンガ」
一 「1968年という年」
二 反物語(ロマンス)としての「美少年マンガ」とその限界
三 反「革命」としての「BL」

第二章 疎外者(アウトサイダー)の自己幻想―中島梓の「少年」
一 書き落とされた「歴史」
二 「川口君事件」へのこだわり
三 「少年(マイナー)」の「逆転劇」

第三章 「川口大三郎」から「少年」へ
一 「生政治(バイオ・ポリティクス)」としての「川口君事件」
二 「川口大三郎」という「詩(ポエジー)」
三 「永遠の受動態(ネガティブ)」としての「少年」
四 「欲望」の原因としての「少年」

第四章 「闘争」する「少年」
一 「少年」をいかに書くか
二 「絵筆」と「ナイフ」
三 「ディオニュソス」としての「少年」
四 「アポロン」の背信
五 「美」を解体する「闘争」

第五章 商品の「逆転劇」―中島梓=栗本薫「真夜中の天使」論
一 「革命」から「革命ゲーム」へ
二 「民主主義など、くたばってしまうがいいのだ」
三 今西良は商品(モノ)である
四 「解放区」の破壊者(サークル・クラッシャー)としての商品
五 商品の「逆転劇」

第六章 史上「完璧」な「JUNE」―野村史子「テイク・ラブ」論
一 野村史子/中野冬美による「やおい表現」批判
二 「革命」の物語(ナラティブ)を「解体」する
三 「妹」の「欲望」
四 他者と協同する「愛」の物語(ナラティブ)の(不)可能性

第七章 「飼育係」の法―西条公威「ABSOLUTE BODY CONTROL」論
一 「普通の少年たち」の台頭
二 西条公威の暴力的(アナーキー)な「BL」
三 「飼育係」の謎
四 「普通の少年たち」の猥褻な法
五 法の下での「成長」

第八章 「強姦(セックス)」しない方を望むこと―本仁戻「飼育係・理伙」シリーズ論
一 監視/管理(コントロール)の手段としての暴力(リンチ)と強姦(セックス)
二 「究極のQ(女)」としての「飼育係」
三 「セックスしな」いという選択

あとがき
初出一覧
索引

【著者紹介】
金子亜由美(かねこ あゆみ)
〈略歴〉1983年茨城県生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻、日本近代文学。
〈主な著書〉『明治期泉鏡花作品研究─「父」と「女」の問題を中心に』(和泉書院、2017)、「第一章 国民と実学─「啓蒙」と「戯作」の交点」(金森修編『明治・大正期の科学思想史』、勁草書房、2017)

未発選書 34太宰治のエディターシップ滝口明祥著定価3600円+税 四六判上製カバー装 332頁ISBN978-4-8234-1314-8装丁 中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)ひつじ書房Osamu Dazai’s Compositio...
22/10/2025

未発選書 34
太宰治のエディターシップ

滝口明祥著

定価3600円+税 四六判上製カバー装 332頁

ISBN978-4-8234-1314-8

装丁 中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

ひつじ書房

Osamu Dazai’s Compositional Skill: The Art of Fragmentation
Takiguchi Akihiro

【内容】
太宰治の作品は、さまざまな〈引用〉のモンタージュによって成立している。そして、そうした太宰の作品を複数読むことによって、読者の欲望は太宰治という作家それ自体へと向かうようになる。いわば、太宰治の全作品が〈太宰治〉を形成するモンタージュとなっているのだ。本書は、そうした仕組みがどのように形成されてきたのかを探るとともに、太宰作品の多面性をも明らかにすることとなるだろう。
【目次】
序章 太宰治のエディターシップ

Ⅰ 引用/断片

第一章 立身出世と「あんま」―「思ひ出」
一、「思ひ出」を歴史的に読むということ
二、変化する〈故郷〉と家族
三、セクシュアリティと主体化
四、さまざまな逸脱の徴候と〈真理〉の探究
五、〈母〉への遡行

第二章 断片とモンタージュ、或いはアレゴリー化する近代―「富嶽百景」
一、見るということ
二、新しい〈リアリズム〉の希求
三、アレゴリーとしての富士
四、映画という〈遊動空間〉
五、断片が浮遊する

第三章 ある少女の「自分一人のおしやべり」が活字になるまで
―「有明淑の日記」と「女生徒」
一、「女生徒」の元となった日記
二、豊田正子『綴方教室』と『婦人公論』
三、「女学生」と「女工」
四、「不良女学生」という言説
五、「事実」とフィクション
六、戦時下の「自分一人のおしやべり」

第四章 読者からの手紙/作者からの手紙―「水仙」を中心に
一、太宰治と〈手紙〉
二、「忠直」としての「僕」
三、届けられる〈真実〉
四、手紙と筆談
五、水仙の絵

Ⅱ 戦争

第五章 戦時下における〈信〉という問題系―太宰治と戦争
一、〈信じる―信じられる〉―関係性
二、主体性を超えるものとしての〈信〉―超越性
三、〈信〉と〈不信〉のあいだで

第六章 禁止と奨励―『右大臣実朝』
一、表層/深層
二、禁止/奨励
三、戦時下の噂と検閲
四、〈意図〉と〈意味〉

第七章 ネイションをめぐる旅―『津軽』
一、〈故郷〉と旅人
二、「大人」=「都会人」からの脱却
三、風景論
四、「無憂無風の情態」

Ⅲ 男/女

第八章 滑稽な〈男〉たちの物語―「パンドラの匣」
一、〈嵐の夜の場面〉
二、「君」に宛てられた言葉
三、「新しい男」と女たち
四、〈他者〉としての〈女〉

第九章 エクリチュールと「革命」―「斜陽」
一、「あ。」の反復
二、〈書くこと〉と〈読むこと〉の交錯
三、「黄昏」と「朝」
四、「私」の変貌

第一〇章 「自画像」と他者からの眼差し―「人間失格」
はじめに
一、太宰治と大庭葉蔵
二、〈引用〉の諸相
三、「人間」と「女」
四、読み返され続ける「人間失格」

初出一覧

【著者紹介】
滝口明祥(たきぐち あきひろ)
〈略歴〉1980年広島県呉市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(日本語日本文学)。早稲田大学国文学会(窪田空穂)賞受賞。学習院大学助教を経て現在、大東文化大学准教授。 〈主な著書〉『井伏鱒二と「ちぐはぐ」な近代』(新曜社、2012)、『太宰治ブームの系譜』(ひつじ書房、2016)、『井伏鱒二 ハナニアラシノタトヘモアルゾ』(ミネルヴァ書房、2024)

深川六歌仙評釈小林孔・佐藤勝明著定価6200円+税 四六判上製カバー装 356頁装幀 三好誠(ジャンボスペシャル)ISBN978-4-8234-1304-9ひつじ書房An Analysis of Six Kasen Renkus in Fu...
17/10/2025

深川六歌仙評釈

小林孔・佐藤勝明著

定価6200円+税 四六判上製カバー装 356頁

装幀 三好誠(ジャンボスペシャル)

ISBN978-4-8234-1304-9

ひつじ書房

An Analysis of Six Kasen Renkus in Fukagawa
Tohru Kobayashi and Katsuaki Sato
【内容】

俳諧とは、本来、俳諧の連歌のことで、近代の用語でいう連句をさす。俳諧の歴史は、連句の付合を読み、人と人、言葉と心の関係をとらえることで、描き直されなければならない。『深川』は、江戸の地名を題名に採用し、永く旅にあった芭蕉が、その当時の俳風を視野に入れて巻いた六つの歌仙を収めている。本書は、その付合を「見込」「趣向」「句作」の三段階で分析した前著『続猿蓑五歌仙評釈』に続く、芭蕉晩年の俳諧の本質に挑む注釈書である。
 

【目次】
付合文芸の展開と『深川』  佐藤勝明
『深川』連衆略伝
『深川』評釈
  凡例
  洒堂序文
  「青くても」歌仙
  「冴そむる」歌仙
  「洗足に」歌仙
  「口切に」歌仙
  「苅かぶや」歌仙
  「梟の」歌仙
  附録(忘年書懐・余興)
『深川』出版略史  小林 孔
『深川』と『市の庵』の題号  小林 孔
あとがき

【著者紹介】
小林 孔(こばやし とおる)
一九六三年生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。大阪城南女子短期大学教授。主な著書に『捨女句集』(共著、和泉書院、二〇一六年)、『続猿蓑五歌仙評釈』(共著、ひつじ書房、二〇一七年)、『笈の小文の研究』(共著、和泉書院、二〇一九年)ほか。

佐藤勝明(さとう かつあき)
一九五八年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。和洋女子大学人文学部教授。主な著書に『芭蕉と京都俳壇』(八木書店、二〇〇六年)、『芭蕉全句集』(共著、角川ソフィア文庫、二〇一〇年)、『続猿蓑五歌仙評釈』(共著、ひつじ書房、二〇一七年)ほか。

ひつじ研究叢書(言語編) 第215巻語彙と文章の計量的日本語研究鯨井綾希著定価6,800円+税 A5判上製函入 368頁ISBN978-4-8234-1300-1ブックデザイン 白井敬尚形成事務所Quantitative Japanese ...
25/09/2025

ひつじ研究叢書(言語編) 第215巻
語彙と文章の計量的日本語研究

鯨井綾希著

定価6,800円+税 A5判上製函入 368頁

ISBN978-4-8234-1300-1

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

Quantitative Japanese Linguistics: Studies on Words and Texts
Kujirai Ayaki

ひつじ書房

【内容】

自然言語処理やデータサイエンスが興隆する中で、日本語研究もその分析手法を再考する時期に差し掛かっている。これまでの日本語学が積み上げてきた数理的・定量的な研究や、世界的なコーパス言語学の潮流を鑑みたときに、計量的な日本語研究にはどのような未来がありえるだろうか。本書は、探索的な計量分析を通して語彙と文章という二つの視点が交錯する言語学的世界を描き出し、新たな計量日本語学の創設に向けた可能性を示す。

【目次】
はじめに

序章 計量的日本語研究の発展に向けて
1 コーパス、データ、日本語学
2 データサイエンスの学際性と日本語学
3 言語学・日本語学における計量研究の役割とその限界
4 計量分析に基づく日本語研究の大局的な課題
5 計量分析に基づく日本語研究の具体的な展望
6 「計量(言語|日本語)学」と「計量的日本語研究」
7 本書の構成と留意事項
7.1 本書の構成
7.2 留意事項

I 文章中における同一語句の繰り返しの量的様相

第1章 同一語句の繰り返しという研究視座
1 語彙と文章を結ぶ同一語句の繰り返し
2 電子データとコンピュータならびに計量
3 第Ⅰ部の研究課題
4 同一語句の繰り返しはどのように捉えられてきたか
4.1 定性的研究の初期の動向
4.2 定量的研究の初期の動向
4.3 2000年以降の研究動向
4.4 談話機能と関連づいた諸表現の繰り返し
4.5 文法と関連づいた同一語句の繰り返し
4.6 繰り返しを取り上げた研究の現状と課題
5 まとめ
6 第Ⅰ部の展開

第2章 同一語句の繰り返し量の多寡と文体変化
1 ねらい
2 分析上の手続き
2.1 量的様相を見るためのTTRの利用法
2.2 語の選定範囲
2.3 BCCWJ(モニター版)の書籍データの絞り込み
3 一定の長さに見られる繰り返しの量的範囲
4 繰り返し量の多寡と具体的な文章
4.1 上限・下限が異常値かどうかの確認
4.1.1 繰り返し語が極端に少ない文章(TTRの値が0.95以上)の実例
4.1.2 繰り返し語が極端に多い文章(TTRの値が0.45未満)の実例
4.2 繰り返し語の多寡が見せる文体的特徴
5 まとめ

第3章 表現媒体の違いと同一語句の繰り返し
1 ねらい
2 調査上の対象・資料・視座
2.1 同一語句の繰り返しの事例
2.2 話し言葉と書き言葉のコーパス
2.3 計量上の視座
3 書き言葉と話し言葉に見られる量的傾向の差異
3.1 平均使用率
3.2 50語ごとの使用率のばらつき
3.3 1語あたりの平均繰り返し頻度
3.4 1語あたりの平均繰り返し間隔
4 ジャンルごとの性質から見た調査結果の解釈
5 まとめ

第4章 学校教科書から見た同一語句の繰り返し場面
1 ねらい
2 文章に現れる低頻度語と高頻度語
3 BCCWJに含まれる「教科書」資料の概略
4 具体的な文脈を計量する方法
4.1 分析に用いる語の分割単位
4.2 用例を抽出して計量する方法
4.3 分析に用いる二つの観点
5 同一語句の繰り返しが集中する場面
5.1 品詞構成比率の差異
5.2 繰り返しの多い文脈に特徴的な語
5.2.1 接続詞の頻度とその差
5.2.2 指示語(代名詞・連体詞)の頻度とその差
6 まとめ

第5章 接続表現による場面転換と同一語句の継続使用
1 ねらい
2 用語変化の計量と接続表現の分類
3 調査資料と計量法
3.1 出版サブコーパスの概略
3.2 用語類似度の概略
4 用語類似度の結果と値の分布上の特徴
4.1 接続表現の前後文脈における用語類似度の全体的傾向
4.2 用語の類似度が高い接続表現の特徴
4.2.1 「論理的関係」の多さとその用法上の特徴
4.2.2 「論理的関係」以外の表現の位置づけ
4.3 用語の類似度が低い接続表現の特徴
4.3.1 話題を変更する文脈 「話題の展開」における《転換》と《無視》
4.3.2 次の話題に繋げる「まとめ」の文脈 「話題の展開」における《まとめ》
4.3.3 「話題の展開」における《補足》の文脈 「ちなみに」の特徴
5 まとめ

第6章 接続表現による場面転換と同一語句の繰り返し量
1 ねらい
2 高頻度語と文章展開を関連づける視点
3 繰り返し量の変化を捉えるための考え方
4 場面転換に伴う繰り返し量の変化
4.1 計量結果一覧とその解説
4.2 データの概略的傾向
4.3 接続表現の関係・機能の分布
4.4 例外的な分布傾向を示した接続表現の実態
4.4.1 加算的関係の《換言》に含まれる接続表現の用法
4.4.2 話題の展開の《無視》《補足》に含まれる接続表現の用法
4.4.3 論理的展開の《仮定条件》に含まれる接続表現の用法
5 まとめ

第7章 文章組織に連動する同一語句の繰り返しの使用原理
1 ねらい
2 ここまでで明らかになっていること
3 分析結果の総合的解釈
3.1 いかなる内容展開でどのように使用されるか
3.2 いかなる意識の下で使用されるか
4 第Ⅰ部の学術的位置づけ
4.1 研究上の意義
4.2 研究上の課題

第8章 使用原理の補論
1 ねらい
2 計量語彙論とその文章研究への応用
3 本章の研究課題
4 話題遷移の計量分析に際した前提
5 話題遷移と関連づけたDとTTRの解釈
6 DとTTRに基づく語彙遷移と話題遷移との関係
7 まとめ

II 語彙と文章を結ぶ定量的なまとまり

第9章 語彙のまとまりと文章のまとまり
1 語彙のまとまりの捉え方
2 文や文章と関連づけた単位語のまとまり形成
3 文章のまとまりに関する直感的理解と定量化
4 単位語のまとまり形成と語彙論的研究
5 第Ⅱ部の展開

第10章 母語話者と学習者の文章に見られる語彙的差異
1 ねらい
2 日本語教育におけるコーパス利用と語彙
3 『YNU 書き言葉コーパス』の資料的特徴と加工手続き
4 カイ二乗値を用いた語彙調査の方法
5 語彙的差異の量的実態とその具体例
5.1 語彙的差異の概略 品詞に注目して
5.2 母語話者の語彙 助動詞と接尾辞に注目して
5.2.1 母語話者における助動詞の詳細
5.2.2 母語話者における接尾辞の詳細
5.3 学習者の語彙 形容詞・副詞に注目して
5.3.1 学習者における形容詞の詳細
5.3.2 学習者における副詞の詳細
6 まとめ

第11章 母語話者と学習者の文章に見られる語彙運用
1 ねらい
2 語彙と文章の連結
2.1 文章単位に基づく語彙研究
2.2 計量語彙論と文章研究
2.3 本章の研究課題
3 『YNU書き言葉コーパス』のタスクの具体例
4 語同士の共起関係を定量化する方法
5 タスクごとの数値の違い
6 数値解釈のための用例分析
6.1 タスクの性質に基づく考察
6.2 タスク2における類似度の特徴とその考察
6.3 タスク8における類似度の特徴とその考察
7 まとめ

第12章 母語話者と学習者の文章に見られる語彙ネットワーク
1 ねらい
2 テキストマイニングとネットワーク分析
3 『YNU書き言葉コーパス』の分析方法
4 母語話者・学習者の語彙ネットワークの特徴
4.1 語彙ネットワークの分析に関する概要
4.2 資料全体における語彙ネットワーク
4.3 語彙ネットワークの段階的拡張
5 まとめ

第13章 内容展開に伴う語彙的結束性の形成過程
1 ねらい
2 語彙的結束性と文脈理解の動的プロセス
3 語彙の抽出と分布図の作成
3.1 反復語句の分類とその抽出法
3.2 調査資料とその加工手続き
4 主要反復語句・部分反復語句の抽出と文章中での分布
5 形式段落ごとの内容展開に応じた語彙のネットワーク拡張
6 まとめ

第14章 語彙の計量から考える文章の一まとまり性
1 ねらい
1.1 文章という言語単位に関わる日本語学の動向
1.2 文章の定量的な研究と本章の目的
2 文章の一まとまり性を定量化するための考え方
2.1 まとまりを作るための形式的側面
2.2 まとまりを作るための意味的側面
3 定量的に捉える文章のまとまりとその言語学的応用
3.1 語の反復・共起によって形成される内容のまとまり
3.2 まとまりの連結と部分的遷移
3.3 構造的トピックモデルによるまとまりの総合的遷移
3.4 語彙的な分析を経たトピックによるまとまりの遷移と相互関係
4 単位語の量的構造と文章の質的構造の連関

第15章 文章中における品詞構成と表現構造との相互関係
1 ねらい
2 文章の文体的特徴
3 BCCWJコアデータと品詞
4 取り上げる主成分の範囲と各品詞の主成分負荷量
5 各主成分の主成分負荷量から見た考察
6 各主成分に実際の文章を関連づけるための主成分得点
7 実際の文章から見た各主成分の解釈
7.1 第1主成分 品詞のバリエーションの豊富さ
7.2 第2主成分 名詞に対する修飾的な表現の有無
7.3 第3主成分 接続詞を多用する文章と動詞を多用する文章
8 まとめ
9 補遺 文章ジャンルのまとまりと傾向

第16章 文章データを用いた語彙の分類試論
1 ねらい
2 品詞という分類の捉え方
3 実データに基づく語彙の分類方法
4 利用する単語分割単位と計量の手続き
4.1 分析資料とその概説
4.2 分析の手続き
5 定量的に見た名詞の分布と分類
5.1 後接要素の収集と整理
5.2 後接要素に基づく名詞の分布と分類
5.3 名詞の分布・分類モデル
6 まとめ

終章 計量日本語学の確立に向けて
1 本書の位置づけ
2 今後の研究の可能性
3 計量日本語学の確立に向けて

参考文献
索引

【著者紹介】
鯨井綾希(くじらい あやき)
略歴
1984年生まれ。宮城県仙台市出身。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。上越教育大学講師、准教授を経て、現在、就実大学講師。
主な論文
「日本語母語話者・学習者の語彙運用と情報構造」(李在鎬編『データ科学×日本語教育』ひつじ書房、2021)、「『生活を伝える方言会話』の持続的活用に向けた語彙調査」(大木一夫・甲田直美編『日本語変異論の現在』ひつじ書房、2024)、「単位語の計量分析に基づく文章の一まとまり性」(斎藤倫明・修徳健編『談話・文章・テクストの一まとまり性』和泉書院、2024)ほか。

言語教育とコメニウス松岡弘著定価10,000円+税 A5判上製カバー装 432頁ISBN978-4-8234-1100-7装丁者 三好誠(ジャンボスペシャル)Language Education with ComeniusMatsuoka ...
10/09/2025

言語教育とコメニウス

松岡弘著

定価10,000円+税 A5判上製カバー装 432頁

ISBN978-4-8234-1100-7

装丁者 三好誠(ジャンボスペシャル)

Language Education with Comenius
Matsuoka Hiroshi

ひつじ書房

【内容】
現代の外国語教育の内容と方法、その基本理念は、実に四世紀も前に一人のチェコ人牧師かつ学校教師によって確立した。その人ヤン・アモス・コメニウスは教授学者・思想家として名高いが、本務は国内外の学校におけるラテン語教育であった。筆者は彼の著した言語教科書、その指導書・理論書を原典に則して読み解き、さらにコメニウスが近現代の中央ヨーロッパの言語教育界にもたらしたものを、日本語教師の目を通して明らかにする。

【目次】
まえがき

序章 言語教育者コメニウス
コメニウス・略年譜
〈参考〉17世紀のチェコ・ハンガリー・スロヴァキア─国家・政治・宗教・民族─

第1章 コメニウスに出会う─二つの講演から─
1-1 コメニウスの贈り物
1-2 コメニウスとともに

第2章 コメニウスの言語教授法─『大教授学』と『最新言語教授法』─
2-1 『大教授学』の中の言語教育者への指針
2-2 『最新言語教授法(Linguarum methodus novissima)』『最新言語教授法』各章の内容
2-3 補遺─「分析的教授学」より─

第3章 コメニウスの教授理念と方法─分析・総合・類比─
3-1 前提としての諸概念
3-2 「分析」と「総合」─事物の発見・作業の遂行─
3-3 類比の方法─「鏡」の中の言語教育─

第4章 コメニウスの言語教科書(1)─『開かれた言語の扉』─
4-1 『扉(Janua)』の初版・改訂版─形態と構成─
4-2 『初版・扉』と『改訂版・扉』─内容・由来・意義─
4-3 「扉」の名称の由来と「テーマ別分類辞書」の伝統─サラマンカの「扉」とプラハの「森」─

第5章 コメニウスの言語教科書(2)─『前庭』─
5-1 『前庭』─初級段階教科書の構成と変容─
5-2 授業の進め方─『前庭』・『扉』を用いて─
5-3 前庭A・前庭B の中の「学校」
5-4 1685 年版『前庭』の中の「学校」(一部)

第6章 コメニウスの言語教科書(3)─『広間』─
6-1 『広間(ATRIUM)』─最終段階言語教科書の姿─
6-2 『広間(ATRIUM)』の修辞の技法・優美文法
6-3 ある授業の試み─国内と国外─

第7章 ヨーロッパの言語教育・教授法・教科書
7-1 問答文・対話教育の意義と伝統
7-2 チェコ語・ドイツ語教科書と教授法
7-3 [参考]チェコとスロヴァキアにおけるコメニウス教育思想の受容

第8章 「絵」の中の言語教育─挿絵・絵カード・壁絵─
8-1 「絵」とテキスト─コメニウスからバセドウ、アメリング、ヘルツェルまで─
8-2 「季節画」の世界、ガイラーからラトヴィアまで
8-3 「絵」に描かれた「心の世界」

第9章 多言語社会の言語教育─地域・民族・国家をこえて─
9-1 ハプスブルク帝国下のオーストリア・チェコの言語政策─ハネローレ・ブルガー著『1867年から1918年までの
オーストリアの教育制度における言語権と言語の平等』を中心に─
9-2 ヴェクセル─多言語社会の中の第二言語学習─
9-3 もう一つの多言語社会─ミリテア・アカデミーのチェコ語教育─
9-4 補遺 ハンガリーのヴェクセル

終章 コメニウスと現代─OMNES–OMNIA–OMNINO─
1 OMNES「すべての人に教える」─多言語社会・複言語主義の中で─
2 cito, tuto, jucunde/facile─「迅速に、確実に、楽しく/易しく」─
3 OMNIA「すべてのことを教える」─『言語の扉』『大教授学』と現代─
4 『汎知学』『汎教育学』の中の知識・方法
5 OMNINO「すべてにわたって教える」─「全体を尺度に」─

あとがき
索引

【著者紹介】
松岡弘(まつおか ひろし)
[略歴]1941年福岡県飯塚生まれ。鳥取県米子育ち、米子東高等学校卒。1964年東京外国語大学ドイツ科卒業(文学士)、(財)海外技術者研修協会勤務(1964〜74)。1967〜68年、米日政府奨学生としてハワイ大学East-West Center 留学、言語教授法を学ぶ。オーストリア・ウィーン大学日本学研究所専任講師(1974〜77)、東京外国語大学附属日本語学校(1977~87)を経て、一橋大学社会学部・同留学生教育センター教授・センター長(1987〜2003)、慶應義塾大学日本語教育センター教授(2003〜05)。この間及び以後、中国長春・東北師範大学赴日留学生予備学校、ウィーン大学、ドイツ国ハレ・ヴィッテンベルク大学等でも日本語教育に従事。
一橋大学名誉教授。
[主な業績]林大編『日本語教育ハンドブック』複数項目執筆(大修館書店1990)、『日本語と日本語教育―阪田雪子先生古稀記念論文集』分担執筆「文学的文章をモデルとした文章の論理的構成の指導」(三省堂1995)、玉村文郎編『日本語学と言語学』分担執筆「コメニウス教授学における「分析」と「総合」の意味について」(明治書院2002)、『開かれた日本語教育の扉』共編者(スリーエーネットワーク、2005)、他に大学紀要論文。

04/09/2025

ひつじ書房は、日本語教育の夏フェス2025に出店します。

「日本語教育の夏フェス2025」残り席数わずか!とのことですので、申し込みは早めにされることを希望します。

ひつじ書房 presents

11:00~12:00
『日本語教師を育てる-ゼロから創り上げた日本語教員養成プログラムの理念とノウハウの紹介-』
 横溝 紳一郎氏

​(西南学院大学)

言語行動論考杉戸清樹著定価10,000円+税 A5判上製カバー装 594頁ISBN978-4-8234-1275-2装丁者 稲田のぞみStudies on Language BehaviourSugito Seijuひつじ書房【内容】言語行...
04/08/2025

言語行動論考

杉戸清樹著

定価10,000円+税 A5判上製カバー装 594頁

ISBN978-4-8234-1275-2

装丁者 稲田のぞみ

Studies on Language Behaviour
Sugito Seiju

ひつじ書房

【内容】
言語行動を考察対象に据えた著者の既出論文約40件を集録。各論文の当初の内容を生かしつつ、部立て構成により一書として言語行動論を企図する。言語生活研究や社会言語学を考察の足場に位置付けて、言語行動の多様性を視野に入れる観点を具体的に示したのち、あいさつ・待遇表現・決まり文句・省略などの言語事象を改めて言語行動として考察することの意義や可能性について、手がかりとなるメタ言語行動表現を焦点にして論じ及ぶ。

【目次】
まえがき

第Ⅰ部 言語行動を見つめる足場〈その1〉 社会言語学という足場

第1章 社会言語学――入り口案内
はじめに
1 社会言語学の関心事
2 社会言語学の前提
3 社会言語学の分野――その1 「社会」のとらえ方
4 社会言語学の分野――その2 ことばへの観点
5 まとめ――今後の方向

第2章 社会言語学の視野
1 はじめに――社会言語学と雑誌『言語生活』
2 社会言語学研究の広場としての『言語生活』
3 ことばへの視点・関心
4 研究領域の広がり・重なり・ズレ
5 社会言語学の視点・態度
6 まとめとして――『言語生活』の視野の再検討を

第3章 日本の社会言語学におけるコミュニケーション研究
1 日本における社会言語学的研究
1.1 その流れ概観
1.2 日本の社会言語学における主たる関心事――コミュニケーション行動への視点の希薄性
1.3 日本の社会言語学的知見の特徴
1.4 日本の社会言語学の研究領域
2 日本の社会言語学について概観するための文献情報

第4章 社会を立ち現われさせることば――一つの言語観
1 対立するキャッチ・コピー
2 「ことば」か「社会」か
3 「ことば」も「社会」も
4 日本の社会言語学における「ことば」と「社会」
5 「ことば」と「社会」の相互関係
6 ことばの作り出す社会/社会を立ち現われさせることば

第Ⅱ部  言語行動を見つめる足場〈その2〉 言語生活研究という足場

第1章 言語生活――入り口案内
1 言語生活という視点
1.1 「言語生活」とは
1.2 言語への二つの視点
1.3 言語生活研究の流れ
2 日常の言語生活の概観
3 言語生活の諸側面
3.1 マス・コミュニケーションとパーソナル・コミュニケーション
3.2 言語生活の場所と言語行動
3.3 言語生活の定型性
3.4 言語行動と非言語行動
4 言語生活の広がり
4.1 外国人(日本語非母語話者)との接触場面の日常化
4.2 新しい形態の言語生活の増大
4.3 言語生活史研究の必要

第2章 言語生活研究の観点
1 はじめに
2 言語生活研究の観点
2.1 言語形式の観点
2.2 言語形式(Di どのように)以外の観点
2.2.1 Dg(どんな人が)の観点
3 その他の観点
3.1 I(いつ)の観点
3.2 Da(どのような)の観点
3.3 Dd(どこで),Dn(どんな人に)の観点
4 まとめ

第3章 職場での敬語
1 はじめに
2 敬語にまつわる悲しいトラブルも
3 ここで扱う調査の概要
4 回答者の構成・属性
5 敬語意識
6 敬語習得の機会
7 敬語使用とその意識
7.1 「お」の使用
7.2 「わかった」の表現
7.3 「行く」の表現
7.4 使い分けの段階と境界線
8 まとめ

第4章 コラム 定点経年調査(1)
鶴岡共通語化調査と岡崎敬語調査

第5章 コラム 定点経年調査(2)
動く社会の中で動く言葉を追いかける

第Ⅲ部 言語行動というコトの広がり

第1章 言語行動――入り口案内
1 言語行動のとらえ方
2 言語行動の種類や姿そのものへの視点
3 言語行動の構成要素への視点
3.1 場面と言語変種
3.2 人的要素と言語変種
3.3 その他の構成要素
4 具体的な言語行動の内的構造・動的構造への視点

第2章 言語行動というコトの研究
1 いま,眼前にあるいろいろ――日本の社会言語学の諸分野
1.1 属性論的言語変種運用論
1.2 言語生活研究
1.3 実体的社会内言語状況論
1.4 社会要素命名論
1.5 対人行動論的言語運用論
2 どんなことが多くわかってきていると考えるか?――知見の性格と制約
2.1 短い単位の言語形式(単音・音節・形態素・語)についての情報
2.2 〈実態〉と呼ばれる情報
2.3 実際に行われた言語生活・言語行動を〈あとたどり〉した情報
2.4 確率論的な数値のすがたでの情報
3 そうした情報を前にして――反省の発端
4 そこで――筆者なりの目標と研究例
4.1 待遇表現を言語行動としてとらえるための視点の考察
4.2 買い物場面での買い手と売り手の言語行動のやりとり
4.3 言語行動の生成に役立つような種類の情報とは
5 まとめとして

第3章 言語意識
1 言語意識の諸側面
2 評価・言語感覚としての意識
3 現状認識・志向としての意識
4 信念としての意識と規範への意識
5 複合的な言語意識――アイデンティティー

第4章 言語行動への視点
1 出来事としての「言語行動」
2 言語行動論の対象
3 言語行動の種類や姿への視点
4 言語行動の構成要素への視点
5 言語行動をとらえる際のさまざまな観点

第Ⅳ部 言語行動へのさまざまな視線

第1章 広がりへの視線――表現行動としての言語行動
1 表現行動の広がり
1.1 「表現行動」を成り立たせるもの
1.2 「表現行動」の多様性――構成要素から考える
2 言語行動と非言語行動
2.1 情報を伝えるものごと
2.2 話し言葉と書き言葉
2.3 副言語と非言語
3 敬語のこころとかたち
3.1 敬語のこころ
3.2 敬語のかたち
3.3 表現行動の構成要素への気配り
4 まとめ

第2章 地域性への視線(1)――地域社会と言語行動
1 言語についての意識と言語行動についての意識
2 言語行動の地域差についての意識
3 地域社会の都市化の程度と言語行動
4 〈言語行動〉の〈地域社会差〉を求めて

第3章 地域性への視線(2)――行動の中の方言
1 はじめに――谷崎潤一郎のみた関西人
2 言語行動研究の視点
3 言語行動についての情報源
4 言語行動についての意識調査
5 「行動」の中の方言――まとめにかえて

第4章 対照する視線(1)――言語行動の対照
1 言語行動という視点
2 言語行動への視点
3 言語表現の幅
4 相手の認知
5 発話内容
6 言語行動の有無・機会
7 まとめ

第5章 対照する視線(2)――ドイツ人と日本人の敬意行動
1 敬意表現への視点
2 言語行動様式の日・独対照研究から
3 言語形式による敬意表現
4 言語化するかどうかの敬意表現
5 何を言うかについての敬意表現
6 どんな調子で言うかについての敬意表現
7 まとめとして

第6章 日本語非母語話者への視線――もう一つの日本語教育を
1 一つの提案として
2 もう一つの日本語教育とは
3 たしかに間違った日本語だけれど
4 なぜ必要か
5 何が必要か
6 「おぞましき日本語」への積極策として

第Ⅴ部 言語行動の姿をとらえる

第1章 「あいさつ」への入り口――「無意味性」と「定型性」
1 あいさつへのとまどいから
2 あいさつの「無意味性」
3 あいさつの機能――人と人を結ぶ働き
4 あいさつの話題・内容の定型性

第2章 あいさつの言葉と身ぶり
1 はじめに
2 あいさつの定型性
3 あいさつをする場面
4 あいさつの言葉
5 あいさつの身振り
6 おわりに

第3章 「お礼」への入り口――お礼を言うか言わないか
1 「ありがとう」の意味・機能・定型性――観点の復習
2 お礼を言うか言わないか (1)韓国との違いの事例報告から
3 お礼を言うか言わないか (2)日独の対照研究のデータから

第4章 お礼に何を申しましょう?――お礼の言語行動についての定型表現
1 はじめに
2 視点としてのメタ言語行動表現
3 何について言及しているのか?
4 何を気にしてお礼をしているのか?
5 まとめにかえて――お礼について言及することがお礼を構成する

第5章 「同じ」店,「同じ」味,「同じ」ことば――郊外レストランのきまり文句
1 「同じ」店
2 「同じ」ことば
3 一回分の録音
4 三回分の録音を比べて
5 「同じ」ことばの周辺
6 「同じ」ことばの背景
7 「同じ」ことばの運用

第6章 ことばのあいづちと身ぶりのあいづち
1 はじめに
2 扱う資料
3 言語形式としてのあいづちの特微
4 身ぶりとしてのあいづちの現れ
4.1 記録した頭部の動きの頻度
4.2 身ぶりとしてのあいづちの頻度
4.3 あいづち的な行動の比率
4.4 話題を示す語の初出する発話とあいづちの関係
5 まとめ

第7章 言語行動における省略
1 手がかりとしてのメタ言語行動表現
2 「本来行動」と「選択行動」
3 言語行動の諸側面における省略
4 まとめにかえて

第Ⅵ部 言語行動としての待遇表現・敬意表現

第1章 何が敬語か?
1 はじめに
2 「何が敬語か」という視点
3 言語行動という視点
4 メタ言語行動表現という視点

第2章 待遇表現の広がり――事典項目の記述として
定義
待遇表現という術語の範囲
待遇表現の範囲
付節:待遇表現選択の過程

第3章 気配りの言語行動
1 待遇表現の範囲
2 待遇表現のしくみ――周囲への気配りということ
3 待遇表現の現れるところ

第4章 待遇表現としての言語行動――「注釈」という視点
1 はじめに
2 言語行動の成立要素
3 「言語行動についての注釈」という言語行動
4 人への配慮の表現としての「注釈」
5 「注釈」と待遇表現形式の類比性
6 「注釈」は待遇表現の現れるところを示す
7 言語行動の成立要素にまつわる待遇表現
8 おわりに

第5章 敬意表現の広がり――「悪いけど」と「言っていいかなあ」を手がかりに
1 はじめに
2 国語審議会答申の記述について
3 考える手がかり――答申の中の実例「悪いけど」から
4 「悪いけど」から「言っていいかなあ」へ――手がかりの展開
5 「言っていいかなあ」の構造と広がり
6 提案する敬意表現の広がり――その枠組みと内容
7 まとめに代えて

第6章 配慮の言語行動をどうとらえるか
1 はじめに
2 言語行動についての配慮――その広がりをとらえる観点
2.1 配慮をとらえる枠組み
2.2 〈留意事項〉 何を気にするか?
2.3 〈価値・目標〉 どのような言語行動に仕上げようとするか?
2.4 〈判断基準〉 何をよりどころにして配慮するか?
2.5 図式化すると
3 まとめ――配慮の言語行動の「見取り図」
3.1 配慮の言語行動の中の「敬語」「待遇表現」「敬意表現」
3.2 本報告書で扱われた言語行動の位置

第7章 敬意行動の中の敬語を――敬語教育の課題
1 敬語調査から
2 言語形式としての敬語
3 言語行動としての敬意表現
4 学校教育での敬意表現の位置付け
5 高校生の意識に支えられて
6 メカニズムの共通性を通じて

第Ⅶ部 言語行動についての言語行動 「メタ言語行動表現」という手がかり

第1章 インタビュー 「なぜメタ言語行動表現を?」

第2章 連載コラム メタ言語行動表現への視線
1 「言っちゃ悪いけど」の言語学を
2 「いつ話したらよいのか」の言語学を
3 「こんな所でなんですが」の言語学を
4 「なぜ言うのか」の言語学を
5 「手書きですみません」の言語学を
6 「ぶしつけながら前置き無しで」の言語学を

第3章 言語行動についてのきまりことば
1 はじめに
2 待遇表現上の気配りを表現する言語表現
3 待遇表現的な配慮以外の気配りを明示する言語表現
4 表現・伝達の過程とその内容の調整に配慮したメタ表現
4.1 表現・伝達の内容への配慮に由来するもの
4.2 表現・伝達の行為過程についての配慮に由来するもの
5 言語生活上の規範に配慮したメタ表現
6 まとめにかえて

第4章 メタ言語行動の視野――言語行動の「構え」を探る視点
1 言語調査の現場で
2 メタ言語行動の広がり
3 メタ言語行動は言語行動の「構え」を明示する
4 メタ言語行動探しの課題領域

第5章 メタ言語行動表現のメカニズム
1 小論の目標
2 「メタ言語行動表現」とは
2.1 定義
2.2 「メタ言語行動表現」の多様性
2.3 「メタ言語行動表現」への注目――先行研究から
3 「メタ言語行動表現」の働きをめぐって――これまでの筆者の検討
3.1 言語行動研究の手がかりとしての有効性
3.2 言語行動の対人的側面をめぐって
3.3 言語行動の内容・伝達的側面をめぐって
3.4 メタ言語行動表現それ自体の対人配慮性
4 メタ言語行動表現のメカニズム
4.1 メタ言語行動表現生成のメカニズム
4.2 そもそも言語行動の生成メカニズムを
どのようなモデルでとらえるか?
4.3 〈留意事項〉のとりたて,及びその明示の有無
4.4 〈留意〉の対象領域
4.5 実現すべき〈価値・基準〉についての主体の〈顧慮〉
5 〈留意事項〉〈価値・基準〉〈顧慮〉などの観察可能性について
6 今後の課題

第6章 言語行動を説明する言語表現と丁寧さ
1 対象とする言語表現類型
2 問題の所在
3 考察対象とする言語資料と考察の手順
4 メタ言語行動表現の出現状況
5 メタ言語行動表現の有無による表現全体の丁寧さの違い
6 まとめにかえて

附章 言語行動への視座――四つの研究領域に身を置いて
1 言語使用の学
2 研究活動の広がりとしての関連業務
3 付記:研究を広げて関連業務に当たる際の意識
採録した論文について
採録した論文の初出情報一覧
あとがき
参考文献一覧
索引

【著者紹介】
杉戸清樹(すぎと せいじゅ)
昭和24(1949)年生。愛知県名古屋市出身。名古屋大学文学部卒。名古屋大学大学院文学研究科言語学専攻修士課程修了。1975年に国立国語研究所研究員となり、言語行動研究部長、日本語教育センター長を経て、2005年に国立国語研究所長。2009年9月に退任して現在は国立国語研究所名誉所員。この間に、東京大学・大阪大学・名古屋大学・筑波大学・東京都立大学・早稲田大学・津田塾大学・名古屋外国語大学・北京日本学研究中心等で非常勤講師を、また、文化審議会国語分科会会長、日本語教育学会会長、NHK放送用語委員等を務めた。
[主な編集著作物]
『社会言語学』(共著、1992年、おうふう)、『ケーススタディ 日本語の文章・談話』(共編著、1990年、おうふう)、『日本語表現』(共編著、2003年、明治書院)、『デイリーコンサイス漢字辞典』(共編、1995年、三省堂 )、『現代語』(高校国語科用検定教科書 共同編修委員、1994年、三省堂)

04/08/2025

ここは告知するところで、相談したりするところではないと考えています。さらに、つぶやくところでもないのですが、、、

企画書が来て、1月に原稿渡して、3月に本にしてほしいといわれますと、私たちは、出版社で、印刷所ではない、印刷所だとしても版下を受け取って、それを刷るというのでなければ難しいと答えると思いますが、2ヶ月で編集して本にできると思うということは、どういう考えからなのか、断ればいいと考えるべきか、本を作るというプロセスについて、もう少し世の中に伝えるべきなのか...

悩んでおりまして、つぶやきました。

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