
26/08/2025
「失業者は国に溢れ、物価は上り、食えない者がこの上食を節して軍事費につぎこむのでは、戦争前の日本と同じことではありませんか」(『婦人のこえ』創刊号「時のうごき」山川菊栄)
——#戦後80年 の夏―― #六花出版 がこれまで手がけてきた出版物から、私たちが決して忘れてはならない戦争の記憶と歴史を今に伝える貴重な資料/書籍を紹介していきます。
戦前から女性の人権や労働問題に取り組み発言してきたアクティヴィスト、山川菊栄が、左派社会党や労働組合の女性たちと連携して立ち上げた雑誌『婦人のこえ』。1953年から1961年までの8年間に出版された全94冊の復刻版です。(全8巻、2024年11月に1〜4巻/2025年5月に5〜8巻を出版)
https://rikka-press.jp/fujinnokoe/
長かった戦争が終わり、日本国憲法が誕生し、ようやく基本的人権や労働基本権が保障され、男女平等、教育の民主化など一連の戦後改革がなされたはずが、その実、女性や子ども、庶民の生活は苦しくなるばかり。誓ったはずの反戦平和も、東西アジアの冷戦、日本・韓国・台湾における米軍の駐屯による軍事的緊張下での再軍備の強行でなしくずしになり……。
『婦人のこえ』が出版された1950年代初頭はそんな時代でした。
執筆陣には、山川菊栄はもちろん、神近市子、田中寿美子、河崎なつ、三瓶孝子、藤原道子などの常連執筆者に加え、杉村春子や淡谷のり子、円地文子など演劇や音楽、文学の分野からも多くが参加し多様性にあふれる内容になっています。
「婦人と低賃金」「労働組合と婦人」「日米不平等条約と日本」「売買春問題」「新興宗教と政治」など、特集タイトルだけを見ても、これが、70年以上も前の雑誌だろうかと疑うほど。率直で平易ながら、力強く主張する女性たちの言葉は、今なお同じ理不尽に直面する私たちに強く響きます。
戦後80年の節目を迎えたこの夏、二度と戦争を引き起こさない、その決意を持って戦後の日本を生きた女性たちに連帯したい思いです。
多くの方たちに読んでいただきたいシリーズです。ぜひ、お近くの図書館にリクエストを!
復刻版『婦人のこえ』全8巻 新着情報, 刊行中, 〈復刻版〉 平和と民主主義、労働問題、女性の権利拡大、教育、貧困問題…… 「本当の民主主義」を希求する 女たちの熱い議論を掲載 労働省婦人少年局長を辞した山川菊...