01/12/2025
株式会社ロジック・ブレインの服部真人です。
ウェルビーイングから見える、
日本の労働環境と移民問題の“本当の姿”
今日は、私が最近強く考えさせられた
ウェルビーイング理論 × 日本の労働環境 × 移民問題
という3つのテーマを、ひとつにつなげてお話ししたいと思います。
SNSを開けば「移民」という言葉が飛び交い、
感情的・政治的な議論が急増しています。
しかし、本当に見るべき“本質”はそこではありません。
私はこのテーマを深く理解したいと思い、
永吉希久子さんの『移民と日本社会』を手に取りました。
そして、本を読み進める中で、
日本の労働の現実が、ウェルビーイングという観点から見ても極めて不可解な構造になっていることを改めて痛感しました。
幸福ではなく、「本質的に価値ある生」へ
まず、ウェルビーイングの話から始めます。
ウェルビーイングとは一言でいえば、
「その人にとって本質的に価値のある、満ちた状態」
です。
ポジティブ心理学の第一人者、マーティン・セリグマンは、
ウェルビーイングを構成する5要素(PERMA)を提示しました。
P:ポジティブ感情
E:没頭・フロー
R:人間関係
M:意味・意義
A:達成
これらがバランスよく満たされることで、
人は「Flourishing=持続的な幸福」を感じるとされています。
しかしこのPERMAは、
ただの理論ではありません。
「人がどんな環境で力を発揮し、どんな働き方が人をすり減らすか」
を見抜くための“診断レンズ”でもあります。
『移民と日本社会』が示す、衝撃的な事実
さて、本題の「移民」について。
私が衝撃を受けたのは、
永吉さんの本に示されていた、技能実習生と労働基準法違反に関するデータです。
技能実習生受け入れ企業のうち、
監督指導が入った企業の約7割が労基法違反していた。
この数字だけ見ると、
「やっぱり外国人労働者がひどい目にあっている」
と思いそうになります。
しかし、ここで話は終わりません。
驚くべきことに、
技能実習生の受け入れとは関係のない“普通の日本企業”でも、
たまたま監督指導が入った企業の約7割が違反していた。
こうなると結論は明白です。
外国人だからひどい扱いを受けているのではない。
そもそも日本の労働環境そのものが「地獄」で、
日本人も同じように巻き込まれている。
これは笑えないどころか、日本の構造を象徴するデータです。
PERMAで見ると、日本の働き方は「ほぼ全部逆」
改めて、日本の労働環境をPERMAで見てみます。
● ポジティブ感情(P)
→ 長時間労働、休日出勤、低賃金
→ ポジティブ感情が湧く余裕がない
● 没頭(E)
→ 多忙・割り込み・無駄な会議でフロー状態が阻害される
● 関係性(R)
→ 上下関係が強く、心理的安全性が低い組織も多い
● 意味・意義(M)
→「なぜこの仕事をしているのか?」が見えにくい
● 達成(A)
→ 達成よりも“疲弊”が先に来る
総じて、日本の働き方は
PERMAをほぼすべて逆行してしまっている状況にあります。
だからこそ、外国人でも日本人でも、
働くことに“疲弊”が生まれやすいのです。
「移民問題」は、日本の“労働問題”である
永吉さんの本を読んでいて、強く思ったことがあります。
日本の移民問題の本質は、外国人労働者の扱いではなく、
日本の企業が“自分たちの労働環境改善を怠ってきたこと”にある。
本来企業がやるべき
・生産性を上げる
・仕組みを改善する
・適正な賃金を払う
・人材を育てる
・働き方をアップデートする
という努力をせず、
その“つけ”を技能実習生に押しつけてきたのが現状です。
つまり、日本の労働問題そのものが、
移民問題を歪んだ形で生み出しているとも言えます。
世界の声:「日本で働くのだけは嫌だ」
世界的YouTuberのPewDiePieは親日家で、実際に日本に住んでいます。
しかし、彼はこう言いました。
「日本の良くない労働文化の影響を受けずに済むから、日本を好きでいられる。」
治安や文化は好き。
でも、働く国としては絶対に選ばない。
これは、外国人の偽らざる本音でしょう。
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解決の鍵は「ウェルビーイング」にある
ではどうすべきか?
私は、ウェルビーイングの視点が
日本の労働・移民問題の両方を解きほぐす鍵になると感じています。
PERMAの5つを組織文化に埋め込むことで、
・働き方は健全化され
・生産性は上がり
・離職率は下がり
・採用競争力が上がり
・外国人・日本人双方にとって魅力的な環境になる
これは決して理想論ではありません。
「人が満ちて働ける環境」こそが、最も経済合理的な状態だからです。
技能実習制度のような“グレーな仕組み”で延命するのではなく、
日本企業自身が「強く、健全になる」方向に舵を切るべきでしょう。
幸福のその先へ、日本は行けるのか?
ウェルビーイングは、単なる“幸せ”ではありません。
自分にとって本質的に価値があり、
人生が意味を帯び、
努力が報われ、
仲間と支え合い、
力を発揮できる状態。
この視点で日本の労働環境を見直すと、
今の構造がどれほど歪んでいるかがよく分かります。
移民問題も、労働問題も、幸福度の低さも、
その根っこは同じです。
「人が満ちて働ける社会」をつくること。
これこそが、次の日本の競争力になる。
私はロジック・ブレインのプロジェクトを通じて、
このウェルビーイングの価値を、組織と社会にどう浸透させるかを
これからも真剣に追求していきます。
今日の内容が、皆さん自身の働き方や組織づくりを
少しでも考えるきっかけになれば嬉しく思います。
それでは、また次回のメルマガで。
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