27/09/2024
高瀬渓谷の温泉からの帰り道。道の真ん中にいた大きな雄鹿が、こちらに驚いて逃げるように、そのまま一緒に長いトンネルへ入る。車のスピードをゆるめて、立派なツノを持つ鹿を見上げながら、知らない世界にいるような感覚になる。こんなにも長い間、野生の鹿が生きる時間と並走することは、もう二度とないかもしれない。この不思議さがどこから来るのか、探究したくなる。
本題です。北アルプス国際芸術祭2024が始まっています。36名のアーティストが、大町を舞台に作品を発表しています。アーティストがこの土地で表現したいと思った大切な記憶や特別な体験が、アート作品として立ち上がっています。
今回は、昨年の春に参加作家を推薦するところから、ほぼ全作家に大町を案内して、公式ガイドブックをディレクションして、たくさんのアーティストの作品制作をサポートしました。
カナダ、ロシア、南アフリカ、韓国、インドネシア、台湾、パレスチナ、コロンビア/オーストラリア、イギリスなどいろんな国から来たアーティストと大町を巡るのはとても刺激的でした。国外のアーティスト達がこの土地と向き合って制作した作品を、地元の人にこそ感じてほしいです。日本の作家たちが、命を削るように作品を通してなにかを探究する姿には、ただただ感謝してます。すごい作品がゴロゴロしてます。
2013年の企画から始まり、10年間並走した北アルプス国際芸術祭。色々ありましたが、素晴らしいアーティストや尊敬する地元の先輩、心強い仲間達のおかげで、とても面白い日々でした。個人的には、芸術祭を始めた責任は果たした気持ちでいます。ありがとうございました。
11月4日まで、長野県大町市で開催しています。ぜひ見に来てください。
長野県大町市は、山からの急流と仁科三湖を抱く北アルプスと東山の丘陵に囲まれた田園地帯で、山の自然と人間の生活が浸透しあう美しい土地です。古くから神社や塩の道、近代では黒部ダムをはじめとする土木構築物を...