20/08/2025
8/20放送「道頓堀ビル火災 消防隊員2人死亡“想定外”の燃え方…過去に6項目の行政指導も」
消防隊員2人が亡くなった大阪・道頓堀のビル火災。現場となったビルが、2023年に火災報知器の不備などを指摘され行政指導を受けていましたが、一部改善されていなかったことが分かった。
■道頓堀ビル火災 燃え方「想定外」
18日、大阪・道頓堀で発生し消防隊員2人が死亡したビル火災。
これは出火直後とみられる18日午前9時47分ごろの映像。燃えた2つのビルの手前側、1階付近で炎が見えている。その高さは背丈ほどで、まだ奥のビルには燃え移っていない。しかしこの1分後、炎はビル全体を覆いつくすほどに拡大した。
セーフティーライフクリエーター
元東京消防庁 警防部長 佐藤康雄氏
「映像で燃えている状況を見た時に、非常に珍しい燃え方だなと感じました。想定を超えた延焼が建物の外側で起こった」
■「とにかく悔しい」仲間が献花
燃え盛るビルから時折聞こえる、何かが落ちるような音。数分後には遠くからサイレンの音が聞こえる。
18日午前10時ごろ、火は縦に大きく伸び空には黒煙が広がっていた。
消防車など62台が出動し消火活動にあたっていたが、消防隊員6人と現場近くにいた20代の女性が搬送されるなどした。そして、このうち2人の消防隊員が命を落とすことになった。
亡くなったのは、浪速消防署の消防司令、森貴志さん(55)と消防士の長友光成さん(22)。同じ消防署で働く仲間も献花に訪れていた。
亡くなった森さんの同僚
「森については同じ小隊の仲間というか、まさか同じ署員がこういう形で亡くなるっていうのは。過去にもそういう経験はあるんですけども。身近な人、身近な職員が亡くなるっていうのはすごく残念でしかないというか」
「(Q.長友さんはどんな部下だった)すごく頑張り屋さんで人懐っこいというか、すごく前向きなのは前向きなので」
「(Q.ムードメーカー?)場を和ませるとか、そういうキャラクター。これからの人材だったので。特に若いですしね、頑張り屋さんだったんで。本当にもう残念で仕方がない。それしかないというか」
さらに、息子が長友さんと同期だという人も。
息子が長友さんと同期の男性
「いてもたってもいられず(献花しにきた)」
「(Q.(息子さんは)かなりショックを?)ショックはありますね。息子いわく、(森さんは)面倒見のいい人だったと。親御さんのことを思うと、いてもたってもいられないし、仕事中も昼休みニュース見て涙ぐんできてしまった。こんな危険な現場、今まで見たことなかったので」
消火活動中の死を悼み、多くの消防隊員が手を合わせた。
献花に訪れた現役消防隊員
「とにかく悔しい。自分だけでなく周りも一緒に強くならないといけないと思います」
献花に訪れた現役消防隊員
「取り残されているというのは、めったにないことなので、アクシデントが起こったんだなと思っていましたが、まさかこんな大変なことになるとは想像もしていなかったです」
献花に訪れた現役消防隊員
「同じ消防職員として、こうやって現場活動で殉職されてしまった。こういったことを絶対起こさないように日ごろから訓練していきたい」
無言で花をそっと手向けた女性。ハートに折られた折り紙とともに添えられたメッセージには「ありがとうございます。どうか安らかにお眠りください」と書かれていた。
■天井崩落 消防隊員6階に避難か
一体なぜ2人の命は失われたのか。火災の詳細が少しずつ明らかになってきた。
火災の起きた2つのビル。右側の延焼したほうのビルは、低層階は看板などが残っているが、上層階が特に焼け焦げていて激しく燃えたのが分かる。
この火事で焼けたのは、向かって左側の6階建ての棟の地下1階から3階。さらに右側の7階建ての棟の5階と6階に延焼した。
大阪市の説明によると、亡くなった2人が活動していたのは右側の棟の5階部分。同じフロアでは他の消防隊員も活動していたという。その時、天井部分が崩落。どの程度の崩落だったかは分かっていないが、消防隊員は二手に分かれて避難を開始した。
一方は出口にたどり着いたものの激しい火災の中で、2人は逃げ道を見つけられず、6階へ避難したとみられている。その後2人は倒れた状態で発見された。
大阪市 横山英幸市長
「6階部分で見つかったので、恐らくそのエリア(5階)から上(6階)に避難した中で、酸素も時間制限がありますから」
大阪府警は19日、司法解剖の結果、2人の死因は酸素欠乏による窒息だったと発表した。
■過去に行政指導 看板も要因に?
現場となったビルは1968年に建てられたもの。現時点で火災との因果関係は明らかになっていないが、このビルは2023年、火災報知器の不備や避難訓練の実施など6項目について、行政指導を受けていた。このうち改善されたのは一部。
ビルの工事関係者はこう話す。
ビルの工事関係者
「(Q.消火設備について何か話は聞いていた?)何年何月までは存じ上げませんが(行政)指導があって、そのための改善をしないといけないということで、火災報知器をつけたりとか、避難訓練をやるようになったりとか、そういうふうにしてますみたいな連絡がありました」
「(内部は)燃えやすいものがたくさんあるとかでは全然なかったです」
なぜ炎は急速に燃え広がってしまったのか?専門家は、ビルの外に設置された看板が1つの要因ではないかと指摘する。
佐藤氏
「建物の外側に木枠で格子を作って、そこに樹脂製のプラスチック板か幕を作って、それが激しく燃えている。それで想定もしていなかった隣の建物にまで、容易に延焼が拡大したのだと思います」
こちらは火災前のビルの画像。ビルの外壁には多数の広告看板が掲げられていた。
火災当時の映像を改めて見ると、炎は看板を伝い縦にのびているように見える。
佐藤氏
「(建築物は)消防法だけではなくて、消防法と建築基準法で2つを使って安全を担保している。今回の建物の外にこういう看板等ですね。外側からのこういう火災というのは想定されていなかったので、あまり規制がされなかったというのが実態」
大阪市消防局は21日にも、事故調査委員会を開き原因の究明を進めるとしている。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月20日放送分より)
消防隊員2人が亡くなった大阪・道頓堀のビル火災。現場となったビルが、2023年に火災報知器の不備などを指摘され行政指導を受けていましたが、一部改善されていなかったことが分かった。■道頓堀ビル火災 燃え方「想....