
18/07/2025
【目の眼 8月号 特集:古美術をまもる、愛でる 箱と台◇発売中】
来歴を大切にするお茶の世界では、新たな箱を作る時、古い箱を捨てずに箱ごと収納する外箱を作るという日本独自の文化があります。また、より大切な物には二重箱として内箱と外箱を作ったりします。なかでも、古美術界で有名な箱のひとつが「藤田箱」。藤田家が特注で作らせた箱は藤田家から出た証となり、その中には必ず良いモノが入っていると古美術商の間では知られています。その最たる例として、国宝である曜変天目茶碗と5つから成る“箱”を見せていただきました。
A 金粉字形で「御茶碗 曜変」と箱書された真塗の箱
B 蓋に後楽園の印が押された貼札と、蓋裏に後楽園の箱書がある箱
C 曜変天目茶碗をのせる天目台が入った箱
D 箱のかどに蒔絵が施された真塗の箱
E 透き漆で塗り木目を活かした春慶塗の箱
曜変天目茶碗を納めたA、
それを納めるB。
別で購入したCと合わせて納めるD、
そしてDを納めるEから成ります。
DとEは藤田家が仕立てた外箱で、こうしてみると藤田家がいかに曜変天目茶碗を大切にしたか一目でわかります。
大阪の藤田美術館では、8/1から「誂」と題した特別展示が開催。曜変天目茶碗と箱も一緒に公開されるなど、滅多にない興味深い展示となりそうです。この機会にぜひ足を運んでみてください。
― 「藤田美術館で観る 名品をまもる存在感」
特別展示
誂 ―贅を凝らす
開催日程|8/1(金)〜10/31(金)
所在地|藤田美術館(大阪)
目の眼 電子増刊4号の試し読み&目次は
https://club.menomeonline.com/products/menome20250809
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In the Japanese tea world, where provenance is essential, it's common to preserve old boxes by enclosing them in new outer boxes. For especially valuable items, multiple layers of boxes are used.
A well-known example is the “Fujita Box,” custom-made by the Fujita family. Such boxes signal high-quality items, like the National Treasure Yohen Tenmoku tea bowl, stored in five nested boxes.
From August 1, the Fujita Art Museum in Osaka will host a special exhibition, Atsurae, featuring this rare tea bowl and its elaborate boxes. Don’t miss this unique chance to see them.