12/04/2025
昨年のちょうど今ごろ。
映像作家の 松井至 さんと満開の桜が美しい青森県田子町に鍛冶屋の中畑文利さんを訪ね、取材した作品が完成しました。
中畑さんは野鍛冶として地元の方々から求められれば「何でも」作ってきた方です。
いわきで鍛冶屋を営む友人鈴木康人さんが10数年から岩手の浄法寺に通い、「漆鉋」作りを習っているのは知っていました。その師匠にあたるのが中畑さんでした。
そのころ機会があり漆鉋を見せていただいたことがあります。
「これは何だ?」というのが、正直な感想でした。
よく切れる刃物特有のぬめるような輝きがあります。が、同時に何かを抱擁するような柔らかな曲線も持っています。その刃の反対側には、ツメのような小刀が突き出している。いったいどうやって使われるものなのか、まったく想像がつきませんでした。
と同時に、この漆鉋を作る職人さんに惹きつけられました。
それから10年ほどたって、その職人さんが中畑文利さんという方だと知る機会が訪れます。
美術作家ふるさかはるかさんと出会い、作品集を作ることになりました。その本は一風変わった構成をしています。木版画を中心とした作品集ですが、200ページ強のうち約半分が職人さんのインタビューにあてられています。マタギで木地師の山中泰彦さん、漆掻きで塗師の鈴木健司さん、そして鍛冶屋の中畑文利さんです。
ふるさかさんとともに田子町に訪ねたのは2023年2月でした。
ほんの数時間でしたが、お話をうかがい、仕事を見せていただき、中畑さんのお人柄と仕事のあり方、作られる刃物の美しさに魅了されました。その時から、いつか映像記録を残さないと、との思いが芽生えました。
幾人もの職人たちの姿を映像作品に残している松井至さんに協力いただき、その思いが実現したのは昨年の早春。
そして完成したのがこの「鎚の音」です。
予告編をぜひご覧ください。
https://youtu.be/jYoUxD9TXo8?si=Z08pf2PpYPsOiKHt
映像作品〈鎚の音〉鍛冶屋・中畑文利さんの記録
https://shinyodo.net/diary/1807/
上映の機会を探しています。
自主上映に興味がある方は、お問い合わせください。
https://shinyodo.net/document/
青森県田子町の鍛冶屋中畑文利さんの記録鎌、鍬、鋤、庖丁、鋏、手斧……火を起こし、鉄を熱し、鎚で打ち、伸ばし、曲げ、研ぎ、求められるものは何でも作る職人を〈野鍛冶〉と呼びます。60年ほど前までは、どの町に....