11/11/2024
今週11月13日号は、大手商社における中国ビジネスの状況をレポートします。
中国経済の回復は長く実現していません。23 年の中国の実質 GDP(国内総生産)成長率はゼロコロナ政策の解除などを背景に前年比 5.2%増となりました。22 年の 3.0%増に比べて上向きましたが、前年からの反動増による影響が大きく、目覚ましく改善したとは言い難い状況です。足元の24年第3四半期(7〜9月)では4.5%増と減速しており、政府目標である5.0%増には到達しない見通しです。政府は様々な景気刺激策を実施していますが、劇的な効果はみえず、不動産不況や個人消費の低迷、設備投資の減少、過剰生産などが景気の下振れ要因となっています。
中国の国家外貨管理局の発表した国際収支統計によると、対中国直接投資の額は過去最高だった21年の3441億ドルを境に、23年は330億ドルと約10分の1まで減少しており、24年も減少傾向が続いています。こうした潮流を反映してか、大手商社による中国投資も大きく数を減らしている状況です。
一方、大手商社の中国における体制面での大きな変更はなく、引き続き大きな需要を持つ消費市場として中国を位置づけています。また、ECやヘルスケアといった伸長する中間層を対象としたビジネスに注力するほか、AIやIoTなどの先端技術に対しても積極的に取り込みを図っています。