18/07/2025
本日発売📕
『住宅特集』2025年8月号
庭──時間を積み上げていく場所
表紙の作品:練馬のハウス/西沢大良+前田文葉/西沢大良建築設計事務所
今月号は庭を主題にした住宅を特集します。
モンスーン気候にある日本の住宅の庭は、植物を愛でその成長を見守り、誰しもが日常に自然環境のふるまいを引き寄せることができる場所として、広く開かれた存在です。また、室の延長としてアクティビティを誘発する場所でもあり、人と庭と都市の環境は密接です。その可能性に着目し、本誌では毎年庭に焦点を当てた特集を組んでいますが、近年特に、現在の建築家の考える庭は、建物の残余空間を住まい手のために彩る存在からどう変容していくかに意識があると感じます。この背景には、建築の考え方自体に、おのおのが建つ環境に還元する姿勢や、土地の潜在力を引き出す思想が広がっているからだと思いますが、もうひとつ、移り変わりが激しく今を掴みづらい時代に、自分の時間が積み上がっていく場所をもとうという潜在的な意識が表出しているのではないか。その問いを立て副題としました。
今回紹介する住宅でも、土地の来歴に注視して、これまでどのようにこの環境ができ、手入れを重ねてきたのか、その先に何を重ねていくべきかという考えが現れます。また、庭という言葉を離れて、外構やランドスケープ、外部の設計などの言葉も用いながら、敷地の向こう側の大きい環境から考えるあり方も見えてきました。この時間を積み上げる主体は住まい手にあると同時に、街をつくるわれわれ皆が当事者であることを今一度考えるべきだろう、その思いも込めて編集しました。(編)
▽掲載作品の一覧はこちらから
https://japan-architect.co.jp/shop/jutakutokushu/jt-202508/