11/12/2025
スポーツ観戦に出かけると、色々な発見があって面白い。コンビニエンスストアやスーパーマーケットのように、ふらっと立ち寄る距離にプロチームの試合会場が近くにある秋田市民は、週末のホーム主催試合をどんな感覚で見ているのだろう▼先日、サッカーのブラウブリッツ秋田が今季ホーム最終戦ということで、観戦に行ったのだが、その光景に圧倒された。会場には黄色のユニフォームを着た対戦相手ベガルタ仙台サポーターがズラリ。秋田の青いユニフォーム姿を1人見かけるうちに、3人の仙台サポーターに会っているような感覚だった。この試合の入場者数はチーム史上最多の1万3172人を記録。仙台が昇格争いの真っ只中ということもあり、秋田に大勢押し寄せたということが大きい。同じ東北のチームで、これまでも激しい戦いを演じてきたライバルチームだが、アウェーサポーターの熱量を単純に羨ましく思った。ただこれは秋田のサポーターが少ないとかいう類いの悪い話ではなく、むしろこの現象は、Jリーグの地方チームの未来を照らすと思う。現地で聞いた話だが、仙台サポーターの遠征は、前泊組が目立ち、秋田市内のホテルや飲食店をかなり賑わせたという。家族連れの仙台サポーターの方が「秋田でかけがえのない思い出になった」と試合後に話していた。こうした声は互いのチーム、サポーターにとって「街を背負う誇り」にもつながるのではないだろうか。もちろん、課題もある。遠征の長距離移動は負担大で、天候不良時は安全管理が急務。クラブは今後、オンライン配信の強化やシャトルバス拡充で、さらなる参加を促すべきであるし、この度実施されたクマ対策も大切である▼1万3172人。人口が減り続け、若者が県外へ流れる秋田。地元だろうが、そうでなかろうが、「帰ってくる理由」として秋田のスポーツがあり、その場所があれば、またこの動員数は実現できることだろう。
(たふじ)