17/10/2025
こんにちは。Foggyの今井太郎です。
この度、Foggy9本目の配給作品となる『これからの私たち - All Shall Be Well』という映画が、12/13(土)よりシアター・イメージフォーラム にて公開される事が決定し、 motiongallery にてクラウドファンディングを開始しました!
長年連れ添った同性パートナーの死後、法的に家族と認められないがゆえに「遺産」と「居場所」を巡る問題に直面する女性を描いた本作は、第74回ベルリン国際映画祭にて優れたLGBTQ映画に贈られるテディ賞を受賞し、その後も第48回サンフランシスコ国際LGBTQ+映画祭(Frameline)にて観客賞受賞、第31回香港映画批評家協会賞にて推薦映画受賞、第61回金馬奨にて作品賞/監督賞/主演女優賞/編集賞にノミネート、第43回香港電影金像奨にて作品賞/監督賞/脚本賞/主演女優賞/助演女優賞 にノミネートと、世界各国で大絶賛されています。
私がこの作品を初めて観たのは去年のベルリン映画祭でした。その年はプロデューサーとしてBerlinale Talentsというプログラムに参加していたのですが、多くの講義の合間に鑑賞したのを覚えています。しかし時差ぼけ、疲労、多くのネットワークイベントでの飲酒の中、夜遅い上映で、取れた席はスクリーンが目の前の一番前の席。画面の一部しか見えず、字幕も読みづらかったのですぐに熟睡してしまいました。。。
そして気が付いたら最後のシーンで、周りの人たちが号泣していました。エンドロール中は拍手喝采で、スタンディングオベーションでした。
上映後の舞台挨拶では監督、キャスト、スタッフの皆さんが目の真ん前にいて気まずかったのですが、これはもう一度観ないといけないと思い、別の日に再鑑賞しました。その時は最後のシーンだけは覚えていた事もあり、オープニングのシーンから涙が止まりませんでした。
映画を観終わったとき、もしかしたら観ている途中だったかも知れませんが、これは絶対Foggyが日本のお客さんに届けるべき作品だと思いました。現在、日本版のポスターを印刷中ですが、ポスターには下記の海外評が記載されます。
不公平な社会への、静かで、力強い異議申し立て。
その訴えは、観る者の心を離さない。
– Screen Daily
観終わったときの心境はまさにそんな感じでした。これは小さくてもFoggyのような配給会社が日本に届けないといけない映画だと思った瞬間でした。
いい映画を観ると、余韻に浸りたくなります。その日はパーティーには参加せず、一人でベルリンの地下鉄に乗ってホテルに戻りました。それは自分にとって最高のひと時でした。日本の皆さんがどう感じられるか。ぜひ、この映画を映画館で観て、色々と考えて頂けたらと思っています。
その為にも、この映画は全国で上映すべき作品だと思っています。東京での上映は決まりましたが、全国公開へのハードルは非常に高いです。私がいくらこの作品が素晴らしいか訴えても、私の力には限りがありますので、大変勝手なお願いではございますが、皆さまのご協力が必要不可欠です。
Foggyは「監督の想いをそれを受け止めてくれるお客様に届ける」という想いで、今まで8本の映画を配給してきました。しかし本当にその作品を必要としている人に届ける事がどれだけ難しいか、身に染みて実感しています。
今回、『これからの私たち - All Shall Be Well』の全国公開を実現させる為に、クラウドファンディングを開始しましたが、この作品を本当に必要としている人に届ける最善の方法がクラファンであると信じています。
全特典には本作のチャリティ前売券が含まれています。これはクラファンにご支援頂くと、前売券1枚につき、100円がマリフォー(結婚の自由をすべての人に:Marriage For All Japan )に寄附される仕組みになっています。マリフォーは法律上同性同士のカップルも異性カップルと同じように結婚できる社会の実現を目指し、訴訟支援や国会へのロビー活動、啓発活動などを行っている団体ですが、これはマリフォーさんのご協力があって実現しました。
そしてクラファンの特典にも含まれている公式パンフレットは、パレットークさんに編集してもらう予定です。パレットーク (漫画でわかるlgbtq+ / パレットーク )はジェンダーやセクシュアリティ、フェミニズムやLGBTQ+、性教育など、性に関する実話をもとに、1分で読めるマンガで解説するメディアですが、私自身、不勉強な事が多いので、パレットークさんが編集してくれる事は大変心強く、完成を楽しみにしています。
本作は今年3月の大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival にて、日本で初上映されました。映画祭でのお客さんの反応は非常に高く、キネマ旬報社 の大アジア電影燦爛、香港映画座談会でも注目の作品としてこの作品を挙げて下さった方が多かったです。
10月上旬にはとあるテーマパークのPride Initiativeの一環で、社内試写会を実施しました。機材トラブルがあり、上映開始が遅れたのですが、上映中はその担当者も号泣していて、何度もこの映画を観ている私も涙がこらえられませんでした。
全国公開に挑戦するにあたって大変な事は多いのですが、映画祭や試写会でのお客さんの反応を見ていると、私自身、励まされます。
11/16には渋谷ジェンダー映画祭(渋谷区lgbtコミュニティスペース #渋谷にかける虹 ) にて本作が上映されます。今年は全国に先駆けて始まった渋谷区のパートナーシップ制度10周年で、その記念すべき年の渋谷ジェンダー映画祭のクロージング作品として上映して頂ける事になり、感激しています。上映に合わせて、レイ・ヨン監督も香港から来日します。
そして11/29には関西クィア映画祭 Kansai Q***r Film Festival (JAPAN) の京都会場でも上映予定です。関西クィア映画祭は私は行った事がないのですが、有志の方々で17年間続けている素晴らしい映画祭のようです。今年、初めて参加できる事を楽しみにしています。
クラファンと映画祭での上映を通じて、これからの私たち全員にとって大切なこの映画について、少しずつ皆さまに知って頂きたいと思っています。長々と書いてしまいましたが、一度、下記のクラファンページをご一読頂けないでしょうか?
https://motion-gallery.net/projects/allshallbewell
今のところ、Foggyは次の作品の買い付けをしていません。一つ一つ丁寧にやっていきたいという気持ちもありますが、もしかしたらこれがFoggyの最期の作品になるかもしれないという覚悟でクラファンに臨んでいます。
『これからの私たち - All Shall Be Well』を何卒よろしくおねがいします。
Foggy
今井太郎
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