
17/06/2025
【新刊『中医臨床』181号が刊行されました!】
『中医臨床』の最新号(181号)が刊行されました。
前号に引き続き,日常診療でよく遭遇する疾患や症状,いわゆる「コモンディジーズ」に対する中医治療の特集をお届けします。今号では【しびれ(感覚障害)】を取り上げました。
しびれは,古くから漢方薬や鍼灸がよく用いられてきた領域のひとつです。現在の日本では漢方薬では牛車腎気丸や疎経活血湯などが広く使用されていますが,中医学では風湿や痰飲,瘀血などによる実証のほか,気血虧虚に邪実を伴った虚実挟雑証など,さまざまな証に基づく診断と治療経験が蓄積されています。今回の特集では,しびれに対する中医学・漢方・鍼灸の視点からの治療アプローチに加え,実際の臨床現場での取り組みについても紹介します。
その他,新企画として,今号より「鍼灸のリレーインタビュー」を開始しました。これは,わが国における中医鍼灸の現状を探る企画で,中医学の実践や教育に携わるベテランから,次代を担う若手の鍼灸教育者・臨床家までを対象にお話を伺っていきます。第1回目として,中医学を日本に導入し,その定着に大きく貢献された立役者である兵頭明先生にご登場いただきました。かつて「教育面では中医学は導入されたが,臨床において中医学を応用している人の数は,それほど多くない」という調査結果が報告されたことがありますが,今回のインタビューでは,卒後研修において中医鍼灸の臨床経験豊富な講師を招きうまく機能している学校もあることがわかりました。とはいえそのような取り組みはまだ限られているようです。今後は全国各地の鍼灸養成校が中心となって,学校教育にとどまらず,地域の臨床家や研究会とも連携した卒後研修の体制が整備されていくことを期待したい,そんな思いを強くするインタビューとなりました。
https://www.chuui.net/view/item/000000000409