30/09/2025
【新刊】
★『新編 西周全集』〈第3巻/言語・教育編〉
(新編西周全集編纂委員会 編)
近代日本黎明期に様々な領域で活躍し、後世に大きな影響を与えた思想家西周。旧全集未収録の新資料などを大幅に加えた決定版新全集全6巻、刊行開始です。
◆編纂にあたって
樺山紘一(編纂委員会代表・東京大学名誉教授)
周知のとおり、西周は幕末から明治時代にかけて、文明開化に向かう日本にあって、指導的な役割を果たした哲学者・社会理論家でありました。幕末には初の国費留学生としてオランダで学び、近代文化の精髄を体得して、明治の新時代の精神を鼓舞し牽引しました。
その西周の主要な著作は、かつて西周の著作集の一環として公刊され、広範な読者を裨益しました。しかし二十世紀後半にもなると、その真価は十分な検証と評価を受けられないまま、いささか忘却にすら埋もれてしまった感もありました。
ところが世紀もあらたまる頃から、日本近代精神の大いなる遺産の発掘も始まり、西周を初めとする近代初頭の知的遺産が、再評価の対象とされるようになります。私たちは、そうした知的潮流を受けて、長らく入手や閲読が困難だった著作を復刊し、西周の真価を問う作業を必須と考えるようになりました。志を同じくする研究者を中心として、既刊の著作を再精査し、信頼できる刊本を作成して世に問おうと考えました。全集に未収録だった草稿の発掘も並行させ、信頼できる全集版の作成に取りかかりました。
こうしていま、『新編 西周全集』を、かねての輝きに加えて、現代的関心の装いもあわせ、広く世に問うことにいたしました。二十一世紀の皆さんに味読していただき、厳しい検証と温かい励ましとを賜ればと心より念じています。
※書籍URL↓
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336076144/