15/11/2025
角川「俳句」11月号に、毬矢まりえさんの新作7句が
掲載されています。巻頭には、10月に刊行したばかりの
句集『妖精に注意』の告知も!
毬矢さんは、アーサー・ウェイリー訳『源氏物語』を
日本語に訳し戻した仕事で知られますが、
深見けん二門下のお母様を通して俳句と出会い、
俳句の著作としては評論が先行(『ひとつぶの宇宙』)、
『妖精に注意』は待望の初句集となります。
いづれのおほんときにか鶯の初音
春泥に一角獣の蹄あと
古池にゆきどころなき花筏
鋭角のザムザの視野に五月来る
天窓にまなじりを裂くはたた神
ドビュッシー水の戯れ山湖夏
秋茜地上に針の影浅し
赤啄木鳥は一声残し森昏るる
山姥がほどいてゐるよ枯蔓を
シベリアのしづく滴る白鳥来 (自選10句より)
翻訳や古典研究で培った広い視野で、
日常の季語に世界の物語を重ねていく――
そんな毬矢まりえさんならではの俳句世界を
ぜひお楽しみください。
帯文・序句=中原道夫
栞=神野紗希「ほがらかな虚実」
阪西敦子「聞こえ続ける人」
堀切克洋「半透明な日本語で美を紡ぐ」
朔出版HP:https://saku-pub.com/books/yousei.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4911090332