清水哲男事務所

清水哲男事務所 作家清水哲男を中心に「表現」を大切にする企画を展開しています。

清水哲男事務所は文筆家であり路上写真家である清水哲男を中心に、
指先からあたたかさを伝えるようなコミュニケーションをめざしています。

【清水哲男のプロフィール】
鹿児島に移り20年。
若い頃には日本列島を歩いて3周、世界各地も歩きました。
その後も市井の人々の暮らし、労働の現場に入り、自分が見たこと、聞いたこと、体験したことを頼りに思考し書き続け、写真を撮り続けています。
好きなものは酒、居酒屋、カウンター。南九州最大の歓楽街天文館はホームグラウンド。夜な夜なあちこちのカウンターを渡り歩いています。

清水哲男のportfolioを公開しました。
02/09/2025

清水哲男のportfolioを公開しました。

Featuring photographs primarily from the published books of writer and photographer Tetsuo Shimizu.

〈『清水哲男のサンクチュアリ』新幹線に乗ってでも行きたい酒場〉いきいき亭近江町@近江町市場, 金沢市上近江町近頃金沢にはまっている。ひょっとすると生まれ育った京都より好きなまちかもしれない。京都は大きくなりすぎた。まちの規模は変わらない。が...
19/08/2025

〈『清水哲男のサンクチュアリ』
新幹線に乗ってでも行きたい酒場〉

いきいき亭近江町@近江町市場, 金沢市上近江町

近頃金沢にはまっている。ひょっとすると生まれ育った京都より好きなまちかもしれない。京都は大きくなりすぎた。まちの規模は変わらない。が、毎年5000万人以上が観光で訪れる大きなまちになった。長年暮らしてきた京都人にとっては年々「車両感覚」とでも呼ぶべきまちの感覚を失いつつある。自分のまちではなくなりつつあると言ってもいいかもしれない。端的な例は京の台所と呼ばれた錦市場だ。かつて買い物かごを持って毎日の買い物をしていたおばさんたちの姿はない。日々の食材の仕入れに駆け回っていた料理人の姿もない。そういった食材を扱う店も姿を消しつつある。残ったのは夥しい数の外国人観光客とそれを目当ての飲食店だ。およそ京都の雰囲気ではない。

金沢は京都が失いつつある情緒と景観を色濃く残している。東京からの新幹線が開通し外国人観光客は増え続けているが、金沢はまだまだ落ち着いた中にある。その情緒と景観を楽しみに金沢に出かけるのだ。まあ、私自身がそれを台無しにする観光客の一人であることは否めないが……。

21世紀美術館のような新しい施設、香林坊、片町のような繁華街もいいが、私はなんと言っても近江町市場が好きだ。観光化が否めないとはいうものの錦市場が失った情緒、景観、それにまちに対する市場としての機能が残っているからだ。金沢の台所だ。
買い物をするでもなくただぶらぶらするだけでも楽しい。あちこち店を見てまわり、うまそうな地のものに目をつける。生きのいい地魚、新鮮な地野菜が並ぶ。顔馴染みになった料理屋の大将があれこれ仕入れている風景に出くわす。今夜は大将の店を訪ねることにしようなどと思う。
それよりも昼飯、いや昼酒だ。観光客の増加につれ食事を提供する店も多い。観光客目当てと言ってもいいだろう。それはどこに行っても同じことだ。店を物色しながら歩く。中には「和食の鉄人」道場六三郎が常連だという店もある。が、外からのぞくかぎりまだまだ早い時間なのにどこもそこそこ混んでいる。

ようやく腰を落ち着けたのは武蔵口の小体な寿司屋いきいき亭近江町だった。10人も入ればいっぱいになるほど小さい。横にテントを立ててテーブルの席を設えてはいたが、やはりここは待ってでも店内のカウンターにつきたい。
ほとんどの客が海鮮丼や寿司を注文している。食事をしているのだ。我々は昼酒をとやってきた。客数が限られているだけに少々気づつなくおねえさんにたずねる。「ちょっと飲んでいいですか」と。「どうぞどうぞ」ということで肴(あて)になるようなものを注文する。
白バイ貝の肝煮、トラフグの煮こごり、それに刺し盛りをと少々腹の足しにと寿司6貫。

つきだしの白イカの煮物でビールを2本。白バイ貝の肝煮が出てきたところで酒を。肝煮も煮こごりも実に酒に合う。うまい。刺し盛りを待っている間に隣客の頼んだ海鮮たっぷりのいきいき亭丼を見る。ご飯の上に刺身を盛った丼ではなく、ご飯と刺身が別々に出てくる。十分肴になるじゃないか。ということで刺し盛りをキャンセルしていきいき亭丼を。

いきいき亭丼にはローカル(2200円)、ワールド(3300円)と2つの種類がある。ローカルは地元でとれた魚ばかり、ワールドは地中海のマグロなども入る。ちょっと思案したがワールドを注文した。言うまでもなく、これは酒の肴にピッタリだった。他にも海鮮丼には様々な種類がある。

おねえさんたちの着ているTシャツのバックプリントが気になった。金沢の方言らしい。この地に縁のある同行者が京都弁に翻訳してくれた。
あほちゃうか
やるで!
やる時はやるんやで
やらなあかん時は
やらなあかんねん
それが今や!
そやろ やってよかったやろ
こんな感じだという。陀羅は「アホ、バカ」の意味だが愛情がこもった「アホやなあ」くらいの意味だと。なるほどな、と思う。愛情のこもった叱咤と言うわけだ。その言葉、ありがたく頂戴して昼酒は続いた。小体な店で長居は申し訳ないなとは思いつつ席を立って英語の張り紙が目についた。

食べられるだけ注文しろ。もし食べ残したら1時間皿洗いをしなくてはならないと。完全に外国人観光客向けだ。いいなと思った。観光客の食べ残しはあちこちで見かけた。金を払ったんだからどうしようと勝手じゃないかと言われそうだが、そこはちゃんと考えて注文しようよと。ごく当たり前のことだが、わざわざこんな張り紙をしないといけないなんて。提供する側として残念な思いをしてきたんだなと少々同情してしまった。金沢にまた1軒お気に入りの店ができた。

いきいき亭近江町店
金沢市青草町88近江町市場館1F

*清水哲男事務所のWEB MAGAZINEよりの抜粋記事
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〈『清水哲男の横目流し目』自分の日々を薮睨み〉「絵本・木版画の作り方」森英二郎。今日届いた本のタイトルです。森英二郎さんは版画家でイラストレーター。森さんの作品は僕が敬愛するフォークシンガー金森幸介さんのアルバムジャケットやライブのフライヤ...
19/08/2025

〈『清水哲男の横目流し目』自分の日々を薮睨み〉

「絵本・木版画の作り方」森英二郎。
今日届いた本のタイトルです。森英二郎さんは版画家でイラストレーター。森さんの作品は僕が敬愛するフォークシンガー金森幸介さんのアルバムジャケットやライブのフライヤーを飾ったり、歌詞集の挿画になったりで、ずいぶん前から目にしてきました。で、とっても好きなんです。
特に歌詞集『心のはなし』は掲載された30曲全てに版画が添えられ、僕の中ではメロディと歌詞とイラストが一体になってとっても優しい世界が出来上がっているのです。幸介さんの歌は英二郎さんの版画無くしては僕の中で成立しないと言い切っていいくらいの存在なのです。その英二郎さんが自らの版画の作り方を1冊にまとめたのがこの本です。20年以上前にそういう本を出されたことは知っていました。欲しいなとは思っていたのですがどこを探してもなくて諦めていました。ところが20年前はモノクロだったけど、今度カラー版で新装版を出すと。もちろん即買いでした。
僕は人の仕事を見るのが好きです。出来上がった作品や仕事そのものはもちろんですが、その人の仕事への姿勢とか考え方、進め方、楽しみ方や苦労などそのプロセス全体を見るのが好きなのです。この56ページの本の中には英二郎さんの仕事の全てと言ってもいいいろんなことがギュッと凝縮されている、コンパクトだけれど必要なことは全て書かれていると思いました。
ふと無名の指物師として生涯を閉じた父を思い出しました。父の仕事を文章と写真で可視化しようとしたことがありました。それを父に話すと「やめとけ。そんなことしても詮ないことや。俺はそこにはおらん」と。おそらく父の仕事を理解することなく書いても人に伝わらないと言っているのだと思いました。家業を継がなかった僕に対する嫌味だとずいぶん長い間思っていたのです。でも英二郎さんの本を読んで思い直しました。父は言いたかったのでしょう。それはその仕事の楽しさをいちばんよく知っている本人が書かなければ伝わらないと。意味がないと。「お前が書いたのでは仕事の楽しさも伝わらんやろ」と。僕は指物師という仕事が嫌いでしたから。
「絵本・木版画の作り方」読むと、森英二郎という人が本当に楽しみながら版画を作っているということが伝わってきました。ああ、楽しそうだなと。そして僕も版画をやってみようかなと思いました。
父の仕事をそばで見ていて、楽しそうだな、やってみたいななどと思わなかった僕に、父の仕事を本にまとめるなど考えてはいけないことだったんだと思いました。父はずいぶん残念だったろうな。

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チャンネル登録よろしくお願い致します。
19/05/2025

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作家・写真家/清水哲男のチャンネルです。

写真展「時間の隨」テーマ完成しました。いつもの通り、作曲・演奏は田川文彦さんです。
07/04/2025

写真展「時間の隨」テーマ完成しました。
いつもの通り、作曲・演奏は田川文彦さんです。

清水哲男事務所、2025年春の予定を更新しました。
04/04/2025

清水哲男事務所、2025年春の予定を更新しました。

INFORMATION 2025.04.29:ナオユキ独り舞台@ふくや京都を開催します。 2025.04.29:清水哲男写真展「時間の隨」@JARFO京・文博を開催します。 2025.04.20:金森幸介ライブ@清水哲男写真展「時間の隨」を開催します。 2025.04.16:タカ.....

清水哲男事務所のBOOKSHOPで販売開始いたしました。■『時間の隨』著者が目指したもの著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。■何気ない風景の...
04/04/2025

清水哲男事務所のBOOKSHOPで販売開始いたしました。

■『時間の隨』著者が目指したもの

著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。

■何気ない風景の断片が紡ぐ新たな視点

「時間の隨」に収められたコラム、物語は、それぞれ独立した世界を持ちながらも、共通のテーマが織りなされています。それは何気ない風景の断片がひとつにつながったとき、日常という時間が現れるということです。時間というものを見つめ直し、新たな視点で世界を捉え直す魅力がここにはあります。

■あなた自身の時間を見つめ直すきっかけに

読書を通じて心の豊かさを感じられること、これこそがこの本の最大の特徴です。多様な視点から描かれる物語を楽しむことで、あなた自身の生活にも新たな光を当てることができるでしょう。この本を読みながらあなた自身の物語を紡いでみませんか。

体裁 文庫版372頁
刊行日 2025年4月20日
頒価 1450円

思い出はその人だけのものではない。多くの人との繋がり、関わりの賜物だ。それは延々と代を継いで受け継がれ、家族の思い出となり記憶という時間の大河になる。
その限り、時間は永遠に続く。果てしなく続いていくのだ。

酔った朦朧とした頭でいろんなことを考えている。
雨音が大きくなったり小さくなったり、近くなったり遠くなったり。
このところ時間ということが気になる。
時間はこのまま永遠に続くのだろうか。
果てしなく続くのだろうか……。
そんなこと、だれにもわからないな。
(「時間の隨」本文より)

四十年以上文筆業を続けてきた。その間に四十一冊の本を出してきた。一年に一冊の本を出してきたことになるが、自分で言うのもなんだがどれも地味な本ばかりで売りにくいし、実際売れなかった。そのほとんどが四百枚、五百枚という長いもので、果ては八百枚を超えるものもある。挙句に写真家でもないのに写真集のような作品も出してきた。残っているのは本を出し続けてきたという事実だけだ。
人は言う「振り返れば瓦礫の山だな」と。確かにそうかもしれない。だが自分の中には時代の要請に応じて、どれもが書かなければならないものだったと自負している。いわば社会状況・問題の反映だ。
だがその中にも〈私信的〉な小さな本が一冊ある。二〇〇三年に出した「『多賀山日記』と九つのエッセー」だ。これは京都から鹿児島に移って最初の六年間、京都の知人・友人に宛てて出し続けたハガキ一枚の私信的コラム百回分をまとめたものだった。それを再海社中脇さんの協力を得て、ほぼ私家版に近い形で出したのだ。
それから二十年が経ち、その間どの作品にも収められなかった小品を再度まとめることにした。いわば私の日常の断片だ。それがこの『時間の隨』。一つひとつの小品が、時間の中に漂い、浮かび消えていく、泡沫のようなぼく自身の姿なのだ。
今日までぼくを支え続けてくれた大勢の人々と、再海社中脇さんに心からの感謝を込めて。
(「時間の隨」あとがきより)

完全私家版としての発行です。
限られた書店のみでの販売となります。大手ネット販売での取り扱いもありません。

■『時間の隨』著者が目指したもの著者が本著の中で目指したのは流れ行く時間の可視化です。身の回りの何気ない風景、漂う空気、そして人々との出会いを縁に時間を紡いでいきます。■何気ない風景の断片が紡ぐ新たな...

BBCに上高地なんちゃらホテルの高級チョコレートを合わせてみる。やっぱり、俺には合わんわ。
09/01/2025

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まだまだやな。
09/01/2025

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あけましておめでとうございます。
31/12/2024

あけましておめでとうございます。

働く人々 #池田バー #鹿児島 #天文館
18/11/2024

働く人々

#池田バー
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山之口町7-33-1004
Kagoshima-shi, Kagoshima
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