
05/09/2025
「麻生元総理 志公会夏季研修会挨拶@横浜」の全文と「やまと新聞の意見」
麻生太郎氏
志公会夏季研修会挨拶 @横浜
★総裁選前倒し要求を行うと表明
それでは今年も恒例の志公会夏季研修会を開催させていただいたのですが、毎年同じように横浜で開催させていただくことになりました。9月3に夏季講習会っていうのはいかがなものかという状態ですけど、今年ぐらい暑ければ9月はもう夏季といっておかしくないんで。昔はモンスーンだったんですけど、最近はもう亜熱帯に変わりつつあるような感じの天候が続いておりますけれども、皆さんも今日こういった形で集まっていただきましたが。考えてみれば政治家の新春の集いってのはだいたい2月からやってますから、それから考えれば夏季講習会もおかしくねえだろうという感じが致しますが、いずれにしてもこうして同志の皆さんとこうやって研修会を開催できることを大変嬉しく思っております。
昨年も申し上げましたけれども、この志公会は発足されてから、そのときの規約の第3条だったかに目的が明記されております。日本のかじ取りを担う政治家の育成、政策の研究立案を主たる目的とすると記してあります。我々はこの目的を常に追求してきましたし、それは今後も変わらない考え方であります。夏季研修会もその目的を達成するための活動の一つです。今年もそうした観点に立って有意義な研修会にしたいと思っております。とはいえ、この会場の後方にずらっとマスコミの方もおられますけれども、それとは違った目的で取材をしているのではないかと思っております。
昨日、先の参議院の選挙を受けまして、総括委員会の報告が両院議員総会の有村先生の下で行われてきれいに仕切っていただきましてありがとうございました。総会で発言をされた方々もいらっしゃいますけども、参議院の選挙が自民党にとりまして大変厳しいものであったということは極めて明らかだと思っております。参議院選挙の定数であります125議席の選挙区に自民、公明両党を合わせて47議席しか取れませんでした。ちなみに3年前は自民党だけで63選挙を取り、公明党と合わせて76議席を取った。わかりやすく言えば、今回は逆で、自民党(与党)47、野党78という形であって、まさに惨敗といえるものであったことは明らかです。この結果を受けて、今後、自民党は何をなすべきかということも考えなければなりません。参議院は3年ごとの選挙と決まっております。従ってすぐに議席を回復することはできません。しからば次に目指すべき総選挙で我々は衆議院の総選挙で勝利し、衆議院の議席を回復させねばならないということです。もちろんすぐに解散は受けるという状況かどうかということはありますけれども、とにかく次の衆議院の総選挙で勝利できる体制を整えるという事こそが、今から我々が行っていかなければならないことであります。それこそが、昨日の両院議員総会で示された総括の最後にありました「解党的出直し」という表現にも繋がったんだろうと思います。そして党員や支持をしていただいてる皆さん方から、自民党の党員として、自民党の支持者として、誇りを持ってるそういった自民党とすることは、我々として党勢と信用回復につながるものだと思っております。
それは単に自民党のためということだけではありません。自民党が責任政党として少なくとも役割を果たしていくことこそが、日本の国家、国益のためになる。そして国益にも資するものだと信じているからであります。そうした方向に一丸となってまい進できるよう、自民党を再建していかなければならないということでなければならないと思っております。そのために我々は何を、いかに行動すべきか。つまり自民党が責任政党として役割を果たしていくため、党内が一丸となって、まい進できる体制を整えるということのためにはどうすればいいのか。1人1人がそういった観点に立って、しっかり判断していただければと思っております。皆さんはそれぞれの選挙で、あるいは支援団体の代表として議員バッジをつけております。支持者、支援者の方々に対し、皆さん方は自らの政治行動には説明責任が伴います。そうした皆様に対して、堂々と胸を張って説明できるような行動をお願いしたい。そして自民党が再び国民の負託に応え、国家・国民のため、我々が力を発揮できる政党となるべく行動していきたいと思っております。私自身につきましては、総裁選挙の前倒しを要求する書面に署名、そして提出をすると決めております。少数与党という極めて厳しい状況ではありますけども、日本が再び決められない政治というようなものに戻ってしまわぬよう力を尽くしてまいりたいと決意を新たにしているところでもあります。
さて、今、国際情勢を見れば何も決められない状況を、今、この日本に作り出していいはずはありません。ご存知の通り、日本を取り巻く環境は極めて厳しいものになりつつあり、東アジアに限らず今は平時というよりむしろ非常時、有事に近づきつつあるということだと認識をしております。ロシアによるウクライナの侵攻はもとより、イスラエルとハマスの戦闘、またイスラエルとイランの緊張状態も続いておりますのはご存知の通り、さらにアメリカがそれに加えて。6月でしたか、アメリカは直接、イランの核施設をバンカーバスターっていう地下まで届く爆弾を使って攻撃するに至っております。アメリカはもはや世界の警察官ではなくなり、同盟各国に対してもそれぞれの負担の強化と防衛費増額を求めている状況でもあります。日本は先の岸田政権において、防衛費をGDPの1%から2%に引き上げております。さらにはいわゆる防衛3文書において、我々はそれを改定して、日本としては撃たれたら撃ち返しますよという反撃能力についても明記しておりました。そういった形で政治が即座に対応できるような、そういった形、今までに比べて遥かにそういったようなものが進んできているのは現実です。くしくも、本日は中国において大きな軍事パレードが行われましたが、いわゆる国際情勢というものは日々動いていて、その都度、日本という国家としての対応が求められます。本日はこの後、まさにそうした観点だったり研究を行うことになっておりますけれども、平時のうちにできる限りの対応をしていくということこそが抑止力に繋がるとそう確信をしております。また、そのためにはしっかりした政権基盤の下において政治の安定が必要だということもあえて申し上げておきます。
経済もまた内政においても同様であります。アベノミクスで、デフレではないという状況を作りだし、雇用は拡大、企業収益は明らかに増加傾向となっております。株価も民主党政権時代、8000円だ、8500円だというようなところが、今は4万円だ、4万5000円だといって5倍に跳ね上がってるという現状ではありませんか。しかし物価高への対応など、新たな対応が求められているということもまた事実。どのような日本をつくり、何を目指していくか、そこが問われているのだと思います。
現在、企業の設備投資は年間で100兆円。一方、企業が持ってる内部留保は600兆円と言われております。仮に1割設備投資に回せば、経済は約1.5%程度成長する計算になります。物価上昇を2%とすれば、名目成長率は3・5%になります。年間3・5%成長すると3年間で10%の水準になります。日本人の平均所得は約460万円と言われておりますが、3年後には所得を50万円増やすことができるということにもなります。1人1人の所得を増やせば、当然、消費の拡大、そして経済が成長していくということになります。こうして明確で芯のある政策を自民党は訴えていかなければならないと思っております。
そんな中、野党はこぞって消費税減税を訴えております。しかしぜひ思い出してほしいんですが、そもそも2012年の社会保障と税の一体改革というもの、消費税の増税を決めたのは当時の民主党政権と自民党、公明党の3党ですよ。今の立憲民主党の野田代表、国民民主党の玉木代表、そして維新の前の共同代表だった前原共同代表。彼らは全員その当時、2012年ですよ、民主党にいて政権を担っていたんじゃないんですか。そのとき、その方々は一体何って言っておられたか。「政局よりは大局を見据えよう」「赤字公債発行を続けて将来世代につけを回してはいかん」。これは当時の野田代表の言葉ですよ。少子高齢化という、ある程度抗えないような流れの中で、増え続ける社会保障費をみんなで負担し合うことは、与野党の垣根を超えてまさに日本の将来という大局に立って決断されたんじゃなかったんですか。確かに厳しい物価高が続いております。しかしインフレ下で消費税率を下げて消費が増えたという例はありません。またいったん下げたものは、いつか上げねばならない。いつ上げるんですか。さらに言えば近い将来、また大きな大災害が起きるかもしれない。これまでで一番暑かった夏が今続いておるわけですけれども、そう言ったことに伴って我々は大きな出費を強いられている。災害が起きやすくなっている。地球全体が何となくいろいろなところでの災害、というのは暑さだけに限らず、台風にしても、竜巻にしても、万が一有事になった場合またどうするか。それに対しては当然財源を伴うというのは最大の課題になりますけども、従って、ここは苦しくても、みんなで助け合い、子や孫、そして将来の日本のために歯を食い縛って頑張らなきゃいかん時期なんじゃないでしょうか。
世論調査でも赤字国債を発行してでも消費税率を下げるべきだという意見は多くはありません。野党の支援団体である連合の芳野友子会長でさえ、安易な引き下げを行うべきでないと発言。また、通称JAMですが、JAMの会長も減税ポピュリズムに対抗していくとも述べています。つまり今を生きる世代が、自らの苦境を将来世代にツケ回しをするというようなことに対して違和感を持たれる人は数多くおられるということであります。私どもは、自由民主党として、過去、現在、未来に対して責任を持つ保守政党であり、責任政党として今後もその矜恃を示し続けていかなければならない。そしてこの日本に生まれてよかったと思う日本を私は皆さんとともに作っていきたいと考えております。志公会発足から約8年がたちましたが、今後も今まで同様、ぜひ皆さんと一緒に力を合わせ、また明るく行動して参りたい考えています。皆さん方がさらなる活躍を期待申し上げ、この夏の研修会にご参加いただいたことに感謝を申し上げ、冒頭の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
「やまと新聞の意見 」
消費税「減税効果なし」論への疑義 ― データが示す実像
自民党の麻生太郎元首相は、横浜市で行われた志公会夏季研修会の挨拶で、野党が主張する消費税減税について「インフレ下で下げても消費は増えない」「将来世代へのツケ回しになる」と強調した。しかし、過去の事例や統計を精査すれば、この主張には看過できない問題がある。
■ 逆進性の強い消費税と家計圧迫
総務省「家計調査」によれば、年収200万円未満の世帯における消費税負担率(可処分所得に占める割合)は約10%前後に達する一方、年収1000万円以上の世帯では3%台にとどまる。�この「逆進性」が消費を直撃し、低所得層の購買力を削いでいるのは明白である。減税は可処分所得を直ちに増やす効果を持ち、特に所得階層の低い層ほど波及効果が大きい。
■ 英国の事例 ― 減税は短期的需要を押し上げた
2008年のリーマン・ショック後、英国は付加価値税(VAT)を17.5%から15%へ引き下げた。イングランド銀行の分析によれば、減税後3か月で小売売上は前年比プラスに転じ、個人消費の落ち込みを一定程度緩和したとされる。�麻生氏の言う「インフレ下では消費拡大につながらない」という断定は、少なくとも国際比較において妥当性を欠いている。
■ 「将来世代へのツケ」論の危うさ
日本の国債残高はGDP比260%と世界最大水準だが、その9割以上が国内投資家によって保有されており、国債金利は依然として世界最低水準にある。�内閣府の試算では、名目成長率が1%上がるだけで税収は約2.5兆円増える。つまり、景気を冷やす増税よりも、経済成長を優先した方が中長期的な財政健全化に資する。
■ 企業の内部留保と「応能負担」
財務省の法人企業統計によると、企業の内部留保は600兆円を突破。設備投資は年間100兆円にとどまり、資金の大部分が滞留している。�仮に内部留保のわずか1割を投資に回せばGDP成長率は+1.5%押し上げられるとの試算もある。消費税に頼るのではなく、法人税・所得税の累進性を強化する「応能負担」が現実的な財源対策だ。
■ 災害・有事対応と税制
麻生氏は「大災害や有事のための財源確保に増税が必要」と訴えるが、緊急時は国債発行や時限的臨時課税で対応するのが国際常識である。平時から恒常的に国民の消費を圧迫する消費税で備えるのは非効率であり、むしろ経済基盤を弱体化させ、危機対応力を損なう可能性がある。
◆ 結論
* 消費税は逆進性が強く、特に低所得層を直撃している。
* 英国の事例が示すように、減税は短期的に消費刺激効果を持つ。
* 景気回復による税収増が財政健全化への近道であり、「将来世代へのツケ回し」論は一面的である。
* 財源は内部留保や富裕層課税など「応能負担」で賄うべきである。
*
よって、「減税は効果なし」「ツケ回し」とする麻生氏の論理はデータに基づいた説得力を欠き、むしろ一時的な消費税減税こそ国民生活の安定と経済再生の両立策である。
民主党の責任であるということを大袈裟に述べるのにも違和感を感じる。国民からしたらそんなことは関係のない話で、国民のために正してくれと言っているのだ。
また、消費税を一度下げたらまた上げなきゃいけないという発言には全く同意できない。自民党は消費税しか脳がないのか?
財源は他にもある。
消費税減税は可能だ! ― 海外バラマキをやめれば財源はある
「消費税を下げれば財源がなくなる? 将来世代にツケを回す?」�そんな常套句を唱える政治家がいる。だがデータを冷静に見れば、これは“方便”に過ぎない。法人税、富裕層課税、内部留保、そして海外への過剰なバラマキ。国民の血税を見直せば、減税の道筋ははっきり見える。
■ 企業は600兆円を溜め込み、国民は苦しむ
財務省統計によれば、企業の内部留保は 600兆円超。その一方で、国民は物価高と増税にあえいでいる。�法人実効税率は30%前後にまで下げられた。かつて40%を超えていたことを考えれば、余力は十分。内部留保課税や特例縮小で 5兆円規模 の財源は容易に確保できる。
■ 富裕層が握る2000兆円
日本の個人金融資産は 2000兆円。その2割以上をわずか上位2%が独占している。�金融所得課税(株や配当)はたったの20%。これを30%に引き上げれば 1~2兆円 の増収。なぜ庶民に8%・10%の消費税を押し付けながら、富裕層の優遇を続けるのか。
■ 海外バラマキ167億7,167万ドル(約2兆5,399億円)― なぜ国民より外国か
政府は毎年、ODAや国連への拠出金に 約2.5兆円 を支出している。
OECDによるとこれは日本の国内総生産(GNI)約0.4%にもなっている。�もちろん国際協力は必要だ。しかし物価高で生活が苦しい国民を置き去りにしてまで、海外に気前よくバラまく理由があるのか。まずは「日本国民」であるべきではないか。
■ 消費税5%減税は十分可能
* 法人課税強化:+5兆円
* 富裕層金融課税:+2兆円
* 環境税・炭素税:+3兆円
* デジタル課税(GAFA税):+1兆円
* 歳出改革:+1兆円
* 海外拠出金の一部削減:+1兆円
合計で 約13兆円。消費税5%減税(▲12.5兆円)を丸ごとカバーできる。
◆ 結論
「消費税は減税できない」というのは幻想だ。�減税を阻んでいるのは財源の有無ではなく、政治の意思である。�法人の利益と海外へのバラマキを守るのか――�それとも国民の生活を守るのか――
答えは明らかだ。