08/12/2025
《小さいけれど大きな喜び》
先ごろ、2026年版「このミステリーがすごい!」が発売されました。
👑映えある第1位は、
国内編『失われた貌』(櫻田智也/新潮社)
海外編『私立探偵マニー・ムーン』(リチャード・デミング、田口俊樹訳/新潮文庫)
ーーでした。
皆さんの予想は当たったでしょうか。
それとも…?!
ベスト10に続いては11位〜20位、21位以下…と発表されますが、もうひとつの楽しみは、恒例「読書のプロが選ぶ『私のベスト6』」です。
そしてなんと、今年はそのうちのおひとり、書評家の古山裕樹さんが、第3位に『男を殺して逃げ切る方法』を選んでくださっていたのです。
「個の尊厳というテーマが斜め上に突き抜けて、サイコ・キラーが暗躍するブラック・コメディと化した3(注・『男を殺して〜』のこと)も忘れがたい」と。
📚
じつは古山さんは、これに先だって発売された「ミステリマガジン」最新号でも「わたしのベストテン」のコーナーに登場され、同じランキングを発表しておられたのですが、そちらには「凶悪なコメディ。なぜこれで逃げ切れるのかとは思うけれど、軽快な勢いに圧倒された。」とありました。
まさにそんな本です。
そのうえ同誌では翻訳家の上條ひろみさんも、第10位に『男を殺して〜』を挙げてくださっていて、ありがたい気持ちがこんこんと湧いてきます。
いずれも雑誌全体中ではごく小さな、ほんの1、2行の紹介です。
でも私たちには、ものすごく大きな喜びでした。
👠
『男を殺して逃げ切る方法』(ケイティ・ブレント/坂本あおい訳)は、あっちでもこっちでも大小の性加害が絶えないなか、女性たちの憤懣やるかたない想いから生まれたブラックコメディです。
イギリスでは大ヒットし、発売以来ずっと多くの女性たちに愛読されています。
日本でも女性をめぐる状況は同じ。いや、加害者への刑罰の軽さでいえば日本の方がずっとひどいです。
もちろん、現実世界ではどんな理由であれ人殺しはいけません。
でもせめて小説の中では、主人公と一緒に心おきなく成敗してスッキリしていただきたいーーそんな思いを込めて、これからも皆さまに本書をお勧めしていきたいと思います。
#男を殺して逃げ切る方法