
01/07/2025
【えほん展ご報告】
6月28日(土), 29日(日)
新潟県十日町市
十日町商工会議所会館 エコマール
今回は十日町市に行ってまいりました。10年ぶりです。新潟県南部の山間部にある十日町市は、普通なら私たちが絵本展を開催しない小さな街です。しかし十日町市は、私たちにとってポジティブな街なのです。全国には、小さくても賑わって、また熱心に見てくださるお客様が少なくない街がいくつかあります。十日町市はその一つでした。実際に各地で「それは例えばどこですか?」と聞かれたら、「長野県中野市」と一緒に、必ず十日町市を紹介してきました。さて今回は・・・。
・・・残念ながら今回、ご予約がほとんど入って来ず、ギリギリまで本気で中止を考えました。前日から泊まり込みましたが、その時点でのご予約は9組14名様のみ、大人の方が多く、お子さんのご予約は2日間で5人しかいらっしゃいませんでした。当日になって予約が増えることを期待しましたが、それも多くはなく、過去に全く経験のない少なさになってしまいました。
そんな中でしたが、実は今回、とても濃い2日間を過ごすことになりました。盛りだくさんなので、ひとつずつタイトルをつけて紹介します。
【10年ぶりのお客様】
10年前の開催時に忘れられないエピソードがあります。
ある年配の女性、当時は新聞折込でお配りしたチラシを片手にご来場されました。曰く、「朝、ゴミを出してたら、お隣さんのゴミの中にこのチラシが見えたのよ。ちょうど私の方を向いてね、キランっと光って、私に訴えるように見えたの。勿体ないと思って、すぐにそのゴミ袋を開けて取り出したのよ。・・・こうやって、こうやって、ちゃんと伸ばしてね。今日楽しみにしてたのよ。」と笑われます。塾を経営していらっしゃるという女性は、長い時間を過ごしてくださって、結局、たくさんの私たちの絵本をお届けさせていただきました。
チラシを救い出してくださった!嬉しいですね。今回、事前にご案内を送ろうか迷いましたが、10年もご無沙汰しておりますし、今は一人で運営しておりますので、あまりゆっくり丁寧なご挨拶ができないので見送りました。
土曜日、午前中のブックトークが終わって自由に絵本を見ていただいている時間に、バタンッ!と入り口が開きました。年配の女性が入り口に立たれたまま、中をぐるりとご覧になって、「なるほど。分かった。あとでまた来るね。」バタンッ!とドアを閉めて行かれました。お客様たちも「知ってる人?」「いいえ。」という感じです。
午後、予約の無かった13時からの時間に、女性は13歳の双子の姉妹と一緒に来てくださいました。お話してみると、やはり10年前の女性でした。何とこの土日、同じ階で教室を開いていらっしゃるとのことでした。「やっぱり縁があるんだねー。」とお話しするうちに、「そうだそうだ。こんなパワフルな方だった!」と思い出しました。
塾の経営だけでなく、様々に活動されている女性、ご自宅にたくさんの外国の人たちを迎え入れているそうです。私たちのお届けした絵本は、そこでも活躍してくれたようです。今回も、たくさんお話出来ました。「10年経ったんだねー。」「またいつか会いたいね。まだまだこれから頑張ろうね。」と元気をいただきました。
また、一緒に来てくださった双子姉妹は、とてもしっかりとした賢い13歳で、翌日もお二人で来られて、ゆっくり見てくださいました。他にもいらっしゃる塾生さんの中から、先生が「あなたたちだったら」と連れて来てくださった理由がよく分かりました。
【学習指導員の若い男性】
土曜日午後、ご予約は「小学校配布のチラシを見て」という男性のみでした。お父さんがお一人で来られることはあまりありません。最近は、若い先生方もほとんど来られなくなりました。おそらく私と同世代くらいの男の先生ではないかなと想像しておりました。
・・・来てくださったのは、25歳の若い男性でした。市内の小学校で “補助教員” として働いていらっしゃるとのことでした。たくさんお話をしました。絵本についてはもちろん、私がいつも感じている子どもたちの現状など、熱心に聞いてくださいました。
私はてっきり、教員免許を取得するために勉強中の方だと思っていましたが、違っていました。おっしゃるには、「今年1年は教育現場について経験したくて・・・、来年は福祉について経験するつもりです。」・・・この若い男性は、医学部を卒業されて、将来は整形外科医さんになるのだそうです。しかし、「これからの医療は、教育や老人福祉や、その他と一緒に考えなくてはいけない時代だと思います。そのために、1年だけでも、教育の現場が覗いてみたくて、学校で働かせてもらっています。」とのことでした。関東出身の男性ですが、このまま新潟に残られて、子育てや教育からお年寄りの問題まで、総合的につないだ医療を実現したいと考えていらっしゃるとのことでした。
とにかく真っ直ぐな方でした。あまりいい言葉が見つからないのですが、とにかく、「こいつすげーな。」というのが正直な感想です。とてもうれしい出会い、次世代を頼もしく思いました。
【駅の掲示板】
とてもうれしいエピソードです。
私たちはいつも、ご予約が少ない時には、すでにご予約のお客様にメールをお送りしてご紹介のお願いをします。今回もお送りしました。しかし今回は、お願いできる数も少なく、期待は出来ませんでした。そんな中、年配の女性が、「私ね。おたくのWebサイトから画像をもらって自分でポスターを作って、そこの駅に貼らせてもらいました。駅長さんに頼んだら、「会社名を出さなければいいですよ。」と言って貼ってくれました・・・。」とおっしゃいます。
あとで見に行くと、素敵なポスターに仕上げていただいておりました。(写真)
JRの駅です。都会の大きな駅ではありえない対応だな、と思いながら、街の皆さんの繋がりの温かさを感じました。本当にありがとうございました。
・・・10年ぶりの十日町市、お客様は過去ワースト記録(断トツ)の少なさでしたが、来て下さった皆さんは、10年前と同じようなエネルギー、そして、温かさを感じさせてくださいました。しかし一方で、なぜか小さなお子さんがほとんど来ていらっしゃらなかったことが気になりました。若いご家庭の本離れが、かなり進んでしまったのでしょうか。
(今回は中学生が4人来てくださいましたが、皆さんとても“賢い”子どもたちでした。10年前の乳幼児さんたちですね。)
・・・気になるお話もお聞きしました。市内のある小学校では、15分間の読み聞かせを何とか成立させるために、30人の教室に、先生や指導員の方など、大人の方が6人入ってやっと何とかしているそうです。何度も書いてきましたが、本離れは、本を読まなくなることにとどまりません。物事への向き合い方そのものと直結しています。
・・・そして、こんなお話は、今回に限らず、日本じゅうで聞こえてくることを、多くの大人の皆さんに知って欲しいです。
さて次回は、7月4日(金)~6日(日)、石川県白山市「松井田文化会館ピーノ」で開催します。ご予約には、まだ空きがあります。お好きな皆さん、ぜひ遊びに来てください。お知り合いの方には、是非お知らせください。
詳しくは、https://www.gaikokuehon.com