
07/10/2025
【えほん展ご報告】
10月4日(土), 5日(日)
静岡県静岡市清水区
静岡市清水文化会館マリナート
今回は静岡市清水区に行ってまいりました。清水区では11年ぶりです。憧憬社としては3回目の開催になります。実はそれ以前、私たちが別の会社に所属して活動していた頃、まだ清水区が清水市だった頃にも、数回の開催があります。
その頃には、もうすでに本離れは進んでおりましたが、今よりは書籍を家庭内に並べることが当たり前で、私たちの所属した会社も全国に多くの社員を抱えて、各地で「世界の絵本展」と称するイベントを開催していました。何と静岡市にも10数名の社員がいる営業所がありました。今よりもはるかに絵本が売れていたのです。当然のように、子どもたちの “座って聞いてくれる” 様子も、今とはかなり違っていました。
さて、清水…。実は当時から、お客様がなかなか集まってくださらず、やや苦戦する街でした。しかし11年も時間が経ちました。私たちのPR方法も新しくなって、かつて苦戦した場所でも何とかなることが増えました。不安もありつつ、挑戦するつもりでの開催でした。
・・・ご予約はなかなか入りませんでした。追加の広告を出したり、お客様にご紹介のお願いメールもお送りしましたが、最近増えた前日当日の “駆け込みのご予約” もほとんどなく、やや残念な2日間になってしまいました。
お客様が少ない街では、やはり “子育て世代” が少なくなります。今回も、約2/3のお客様は、すでに子育てを一段落された世代の女性たちでした。日曜日の午後は、なんとお子さんは2歳の女の子がお一人のみ、という初めて経験する結果となりました。そして2日間とも、大きいお子さんがほとんど来ておらず、小学生以上のお子様は2日間で3人だけです。そしてやはり、お父さんのご来場も少なくなりました。
しかし来てくださっているお子さんたちの様子は、素晴らしいものでした。
日曜日の午前中は唯一満席となる時間でしたが、「禎子の鶴(原爆の絵本)」を読んだときの、次第に静まり返っていって、最後に張りつめたような空気になる幼児さんたちの姿を、多くの皆さんに知って欲しいです。この時間、子どもたちはみんな、まだ小学校にも行っていらっしゃらない小さなお子さんばかりでした。普段から、そういう時間が積み重なっていることがよくわかります。そんな時間を家族で共有していれば、ほんの小さな赤ちゃんでも、そうなってくれることを知って欲しいです。
同じ時間には、今回唯一の10代のお客様、高校2年生の女の子が来てくださっていました。やはり、とても落ち着いた大人らしい部分と、子どもらしい可愛らしさが同居されてる素敵な高校生でした。将来の目標もはっきり決まっていらっしゃって、それを教えていただいたときの受け答えの内容、話され方、それについてお母さんとやり取りされるときの親子の空気、とても素敵でした。
この時間には、もう一つ楽しいエピソードがありました。
「おやゆびひめ」を紹介する中で、私はいつも、子どもたちに「“モグラと結婚しなさい” って言われたらどうする?」と聞いてみます。この絵本はかなり写実的なイラストで、登場するカエルやネズミ、モグラがリアルに表現されて、おやゆびひめよりも大きく、ユーモラスながら迫力満点に表現されています。
子どもたちの反応は様々です。少し固まって首を横に振る子もいれば、ニコニコと元気よく「絶対にいやー」と叫ぶ子もいらっしゃいます。男の子には「俺ならぶっ飛ばす!」というようなお子さんもいらっしゃいます。
今回は、一番後ろに座っていらっしゃった5歳の女の子に聞いてみました。女の子は、クールな感じで少し面倒くさそうに、やや斜めを向きながら首を振って、「いやだっ!」と言いました。そして、
「だって、わたし、もう決まってるから!」
大人たちがみんなで笑ったことは言うまでもありません。「決めてるから」ではなく「決まってるから」という言い方が、とても大人びて可愛らしかったです。
実は最近、子どもむけの簡単な展開や、かわいいイラストに慣れてしまって、この絵本の世界についてこられずに、ポカンとしているお子さんも増えています。小学生のママが「モグラを知らないかもしれません。」と苦笑いされることもあります。
しっかり話の流れに乗っかって来てくれて、すべてを分かった上で「馬鹿な事聞かないで」という5歳の女の子とのやり取りは、本当に楽しい時間でした。
実はこのご家族、日曜日唯一の “お父さん” がご一緒のご家族でした。そして、お父さんは入室されてからブックトークが始まるまでの間、絵本を開いては、「あー、これ見て見て、きれいだねー」と、楽しそうにお子さんに見せてくださっていました。お母さんの方が、一歩下がられて、優しくその様子を見ていらっしゃる感じでした。またお母さんは、他の絵本をご紹介した時には、心からの涙を流して感動してくださいました。(どちらかというと大泣きという感じです。)今度はそれをお父さんが優しくサポートする様子を、お子さんも一緒にご覧になっていらっしゃいました。
ブックトーク後も長い時間過ごしてくださったこのご家族、お母さんによると、絵本展に積極的に申し込んでくださったのはお父さんだそうです。お父さんは、娘さんの結婚相手について「あとでよく聞いてみます。」と笑っていらっしゃいました。
・・・さて次回は、10月11日(土), 12日(日)、山梨県甲斐市「敷島総合文化会館」で開催いたします。実は甲斐市も、ご予約がほとんど入っていません。かなりピンチです。お好きな皆さん、是非遊びに来てください。お知り合いの方には、是非お知らせください。
詳しくは、https://www.gaikokuehon.com