
31/07/2025
★1945年、第二次世界大戦末期、広島、次いで長崎で、人類史最初の核兵器が使用され、多くの犠牲者を出した。しかし、世界の核保有国はそれ以降も核の開発を続け、冷戦終結までに2000発の核兵器を爆発させた。
核実験だけでなく、原料となるウラニウムの採掘や原発事故を含めると、放射能による被害を受けた人の数は世界各地で数百万人にのぼるという。
これほどの被害者がいたにも関わらず、歴史学ではこうした事実について全くふれないか、各国の歴史のなかで僅かに記述される程度だった。
著者は国家を超えた惑星的な観点から、世界各地の被曝者である「グローバル・ヒバクシャ」の歴史を究明していく。疫学的な観点だけでなく、当事者の歴史的証言にも重きを置くことによって、数字に還元することができない被曝者たちの苦しみにも光を当てている。
本書を通して痛感することは、過去の核による犠牲者以外にも、私たちの目に不可視化され苦しみ続けているヒバクシャと、核兵器および核廃棄物という巨大な負の遺産を背負った未来の人々の存在に対する、私たちの責任の重さである。
惑星的な視座からヒバクシャを可視化 本書「グローバル・ヒバクシャ」では、これまでほとんど顧みられることのなかった、世界各地に存在する被爆者の歴史と実態を追求し、核抑止力の前提を鋭く問い直すことを試み.....