
13/03/2025
薪ストーブの燃料は薪ですが、唯一自分で作れる燃料でもあります。だから日本では昔から薪は自前、ということが当たり前でした。ところが戦後のエネルギー革命で日本での薪の需要は極端に落ち込み、時代遅れの非効率的なエネルギーのレッテルさえ貼られてしまいました。残念ながら日本での薪文化は絶滅危惧種となってしまいました。
絶滅危惧種とは言え、その魅力を知っている人たちのおかげをもってここまで薪文化は盛り返そうとしています。ところが、薪エネルギーを使う人が増えればモラルも低下してしまいます。昨今、テレビやネットで薪ストーブからの煙や臭いに困り果てている人たちの意見が採り上げられるという形で顕れるようになりました。これは私たち薪ストーブユーザーにとっての岐路でもあり、転び方で健全な薪ストーブユーザーさえも使えなくなってしまう危険性をはらんでいます。
そこで、今号では、如何にして乾燥させた薪をつくるかの実践科学を特集しました。執筆は滋賀県で40年以上薪ストーブと薪を研究している田代文男さん。とにもかくにも薪は「乾燥」させなければならないとの思想で、わかりやすく乾燥薪や煙の出にくい薪のくべ方を解説していただきました。
今号の紹介/試焚はスイスの新型蓄熱薪ストーブトーンヴェルクT-TWO PIとスペインの炎が美しいパナデロ・マスカリラの2台。薪ストーブの排気煙量はすでに相当少なくなってきました。あとは使う私たちの技術を体得することにかかっています。今号を読んで煙と臭いにおさらばしましょう!