16/10/2025
王祇祭追ったドキュメンタリー映画 「王祇様と暮らす」伊藤監督語る まちキネで24日まで上映 能役者仕舞やパネルトークでPR
鶴岡市大鳥在住の映像作家、伊藤桃与さんが監督を務め、同市櫛引地域に伝わる王祇祭を追ったドキュメンタリー映画『王祇様と暮らす』が24日(金)まで鶴岡まちなかキネマで上映されている。初日の11日には桃与さんによる舞台あいさつ、12日は黒川能下座の能役者が仕舞を披露するなど、特別イベントも行われた。
桃与さんは山梨県出身。武蔵野美術大学造形学部在学中から「映像絵画」の制作を始め、撮影した映像を造形したスクリーンに投影させる独自の表現方法を用いた作品を発表している。2019年に大鳥に移住。庄内地方には伝統芸能が数多くあることに驚き、中でも黒川地区で500年以上も受け継がれてきた王祇祭に魅せられたという。祭り当日の映像は残っているものの、地区の人たちが1年かけて準備する仕事や祭りに至る流れの映像はほとんどないため、資料として残したいとドキュメンタリー映画の制作を決意。3年間にわたり撮影した300時間を超える映像を編集し、120分の作品にまとめた。
映画では安全祈願や座員の総会、稽古の様子、豆腐焼き、ごちそう作り、当屋遣いなど祭り全般を日を追って紹介。祭り当日も、上下両座と春日神社の3カ所でほぼ同時に行われる行事を桃与さんと、夫でプロデューサーを務めた伊藤卓朗さん(NPO法人やまいろ代表理事、鶴岡高専准教授)が手分けし、ビデオカメラとスマートフォン計4台を駆使して撮影したという。
舞台あいさつで桃与さんは「祭りに関わる人は“十七夜”の1月17日から精進するが、私は1日から肉や魚などを一切食べずに精進して臨んだ。地区の方たちに受け入れていただき、協力を得られて映画が完成し、とてもうれしい」と話していた。
特別イベントは18日(土)も行う予定。午後2時20分からの上映終了後、上座有志が仕舞を披露するほか、パネルトークを行う。席予約も受け付けている。
この作品は、首都圏などでも公開を目指しており、全編方言で語られる場面を分かりやすく共通語や英語に翻訳したパンフレットの作成や上映会、関連イベント開催のため、協賛金を募っている。企業・事業主からは3万円、10万円、30万円、個人からは1万円で、金額に応じた大きさでエンドロールに名前などを掲載する。締め切りは今月31日(金)。