08/20/2025
すでに24万人が来館
フリック・コレクション美術館が3億3000万ドルをかけて改装・増築して4月17日に5番街71丁目に再オープンし、4か月たった現在も毎朝の入館時に長い列ができている。同美術館の広報官ミッチ・ケース氏によると、初日からは約24万人が訪れた。1935年の開館以来、初めて数年にわたって包括的な改修を行った同館は、1階ギャラリーを修復し、フリック家の旧邸宅の2階に新しいギャラリー群をつくり、1階の新たな特別展示ギャラリー、フリック美術館初の教育室、そして218席を設けた新講堂など、展示スペースとプログラムスペースを大幅に拡張、庭園の修復も行われた。同館の秘蔵品の45%が、これまでより30%拡張された館内に展示された。「拡張以前は秘蔵品の25%しか展示されていなかったが、これからは拡張されたスペースで年に何回か特別展示を行う予定である」とケース氏。
増設された2階のギャラリーは、来館者がフリック美術館の所蔵品や歴史的空間に触れる新しい試みとされる。かつてフリック家の私邸であったこの邸宅の2階は、1935年の開館当時、職員の会議室や管理事務所として利用されていた。天井壁画、大理石の暖炉、精巧な木彫り細工といった建築的・装飾的な特徴を丁寧に修復・保存することで、これらの空間が息を吹き返したという。また、創設者であるヘンリー・クレイ・フリックの寝室に設置された肖像画のセレクション展示があり、娘のヘレン・クレイ・フリックの寝室に設置されたルネサンス期の金地パネルは、コレクション形成に貢献した彼女の役割を称えるもの。そこにはフリック氏が生前に収集した印象派の絵画も展示されている。
日本でもよく知られるヨハネス・フェルメールの作品3点「夫人と召使」「中断された音楽の稽古」「士官と笑う女」は、美術館1階に展示されている。世界中に35〜36点しかしないとされるフェルメールの絵は、この3枚の他にメトロポリタン美術館に5点所蔵されており、ニューヨーク五番街に合計8点が所有されていることになる。
(ワインスタイン今井絹江)
(写真右)Johannes Vermeer (1632 675), Girl Interrupted at Her Music, ca. 1658 9, oil on canvas, 15 1/2 × 17 1/2 in.